「坦々麺」「担々麺」どちらが正しい漢字?
正しい漢字は「担々麺」! 中国で誕生した歴史が深く関係……?
本来の漢字は、「担々麺」です。これには、担々麺の歴史が深く関係しています。担々麺は元々中国の四川省で誕生しました。その時に「担いで」売り歩いたので「担々麺」という文字を使った商品名になったのです。また「担いで」売り歩いていたため、汁(スープ)がありませんでした。つまり、日本で言うところの「汁なし担々麺」こそが、本来の「担々麺」だったのです。
そして、元々の「汁がない担々麺」を日本で流行らせるために陳建民さんがアレンジして広めたのが、スープが入ったいわゆる「担々麺」でした。これは、ラー油や芝麻醤を使ったラーメンになります。日本では、スープが入った「担々麺」が先に売れ始め、浸透してしまったため、本来の汁がない担々麺のことをあえて「汁なし担々麺」と呼ぶ逆転現象になってしまったのです。
「坦々麺」普及の背景は日本語入力システム?
「坦々麺」という誤った漢字が使われている背景についても解説しましょう。これは、スマートフォンや日本語入力システム(Microsoftの「Microsoft IME」、ジャストシステムの「ATOK」、GoogleのGoogle「日本語入力」など)に「坦々麺」と登録されてしまったことから、本来誤字であるはずの「坦々麺」が一人歩きしてしまい、一般に普及してしまったのです。元々日本には「坦々」という言葉が存在していたため、こういった結果となりました。坦々という単語には「平坦な」とか「のっぺらとした」「平凡な」という意味があります。なので坦々麺だと「平坦な麺(味)」とか「のっぺらとした味」という意味になってしまい、おいしくない意味合いになってしまうのです。今では誤字が誤字ではなくなってしまった感もあります。おそらくそのうち辞書にも登録されるのではないでしょうか?
この記事の筆者:大崎 裕史
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。
株式会社ラーメンデータバンク取締役会長。28,500杯(2023年11月末現在)を食破した自称「日本一ラーメンを食べた男」として、メディアで幅広く活動中。