今回はアンケートで得た回答のなかから、奨学金250万円を借りて卒業し、返済のために地道な節約生活を送る20代男性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:20代男性在住:東京都足立区
家族構成:独身(子なし)
住居形態:賃貸
職業:その他
年収:350万円
現在の貯金額:0円
回答者の奨学金の状況
借りた奨学金の種類:貸与型奨学金返済状況:返済中
奨学金で利用した金額(総額):250万円
奨学金の返済残高:220万円
奨学金の月々の返済額:1万2000円
奨学金以外に借入しているもの:特になし
独立行政法人日本学生支援機構が発表した令和2年度学生生活調査結果によると、大学では49.6%、短期大学では56.9%の学生が奨学金制度を利用しています。
奨学金を生活費として利用「仕送りだけで賄うのは難しい」
奨学金を在学中の生活費として利用していた回答者。「仕送りだけでは生活するのには心もとないため、奨学金を必要としていました。なかなか仕送りだけで家賃や食費を賄うのは難しかったのです」と、学生時代の厳しい家計について述べました。
一方現在は、学生時代に「使わないでいいお金を奨学金でたくさん使ってしまったこと」を悔やんでいるそう。「そんなに楽しくない飲み会や、欲しくもない服を買ったことなどは後悔しています」と、返済に苦しんでいる今だからこそわかった、当時の生活の余剰にも言及しています。
常に迫る返済のプレッシャー「毎月返済できるか不安」
回答者は毎月1万円ずつ奨学金を返済しているとのこと。「給料が入ったのに、返済のために給料が減ってしまうというのがしんどい」と、返済により自由に使える額が減ってしまうことの心情を率直に打ち明けました。
さらに「支出としては少なくても、毎月返済できるか不安になることがある」と、プレッシャーについても言及。「コンビニでなんとなく買い物することは、お金を無駄にしているということに気づいたので、意識して支出を減らしています」と、返済額を工面するために節約している旨を明かしています。
「給付型奨学金を増やしてほしい」
現行の奨学金制度について、「不満は特にないです。奨学金については、返すべきものですし、使ったのも自分です」と話した回答者。その一方で、「未来に心配することなく、お金に不自由のない人を増やすためにも給付型の奨学金を増やしてほしいなと思っています」と、給付型の採用枠が少ない奨学金制度の課題を述べました。
加えて「未来に対して不安な若者が増えると、社会は明るくならないと思います」と、大学を卒業してまだ日が浅い20代の観点からの意見を陳述。政府には、若者が将来に希望を持てるような制度の構築が求められています。
※回答者のコメントは原文ママです
この記事の筆者:三山 てらこ
横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するライター。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。X(旧Twitter):てらこ@ライター(@TeraWEB1)