「Wi-Fi 6」と「Wi-Fi 5」は何が違う? 導入するメリットは? 【専門家が解説】

「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」などの表記を見かけるものの、何が違うのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。「Wi-Fi 6」について、LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。

「Wi-Fi 6」を導入すれば何かいいことありますか?
「Wi-Fi 6」を導入すれば何かいいことありますか?
「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」などの表記を見かけるものの、何が違うのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

今回は「Wi-Fi 6」について、LAN/無線LANの専門家で「All About」ガイドの岡田庄司が解説します。
 

(今回の質問)
「Wi-Fi 6」を導入すれば何かいいことありますか?

 

(回答)
もしWi-Fi 6対応の端末を持っていたら、数々のメリットがあるWi-Fi6対応の無線LANルータを用意しましょう。


どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

今選ぶなら「Wi-Fi 6」がおすすめ!

現在、家電量販店にて販売されているのはWi-Fi 5/Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E対応の無線LANルータです。この中でWi-Fi 6Eは現状対応端末が少なく、恩恵を受けることができるユーザは少ないでしょう。iPhoneでも、iPhone 15 Pro以上にしか対応していません(iPhone 15/iPhone 15 Plusは非対応)。

【こちらも読む→「iPhone 15 Pro」で対応した「Wi-Fi 6E」とは?

ここで、おすすめしたいのはWi-Fi 6対応の無線LANルータです。以下にWi-Fi 5対応の無線LANルータと比較しながら説明しましょう。

■2.4GHz帯と5GHz帯、両方の周波数帯を使うことができる
Wi-Fiの周波数帯には2.4GHz帯と5GHz帯の2種類があります。2.4GHz帯は距離や障害物に強いのですが、5GHz帯より速度がでません。5GHz帯は2.4GHz帯より速度は断然速いのですが、距離や障害物に弱いという性質があります。

【こちらも読む→Wi-Fiの「2.4GHz」と「5GHz」って何が違うの?

Wi-Fi 5はこの5GHz帯のみを使用する規格です。2.4GHz帯を利用するには、1つ前のWi-Fi 4を利用する必要があります。一方、Wi-Fi 6は2.4GHz帯と5GHz帯、両方の周波数帯を使うことができるので、環境に応じて新しい規格を使い分けることができます。

■通信速度が約1.4倍速い
Wi-Fi 6はWi-Fi 5に比べ、規格上で最大通信速度が6.9Gbpsから9.6Gbpsと約1.4倍に速くなっています。もちろん、規格上の話ですが、実際に利用してみても4Kの映画やリアルタイム性の求められるオンラインゲームでその速さを体感できます。

■同時に接続する端末が増えても大丈夫
最近は、IoT (Internet of Things)に代表されるように、スマホだけではなくエアコンから冷蔵庫までもインターネットに接続される時代になってきました。そのため、同時にインターネットを利用する場面が非常に多くなっています。

Wi-Fi 5では、1つの帯域幅を1つの機器が占有してしまうので、接続する端末が増えれば通信の順番待ちが起き滞留が発生します。Wi-Fi 6では、1つの帯域幅を細分化し、端末ごとに割り当てることが可能となっているので、端末の数が多くなってもスムーズに通信を行うことが可能になります。
 
「Wi-Fi 5」と「Wi-Fi 6」の帯域幅
「Wi-Fi 5」と「Wi-Fi 6」の帯域幅(画像:編集部作成)

省エネ、セキュリティー面でも優れている

Wi-Fi 6には、スマホなど端末のバッテリー消費を抑制する技術が採用されています。無線LANルータから端末へのデータ通信を行うとき、そのタイミングを監視し、信号の受信を待機する必要がないときに端末の通信機能をスリープ状態へ移行させることができます。そのため、消費電力を抑えることができ、バッテリーが長持ちします。

また、Wi-Fi 6には、WPA3という暗号化の技術が組み込まれています。WPA3は、以前からあるWPA2の後継となる規格で、WPA2よりも強固なセキュリティーシステムとなっています。従来のWPA2には、暗号化した通信内容が解読されてしまうという深刻な脆弱(ぜいじゃく)性が問題となっていましたが、WPA3では強固な暗号化システムで安全な通信を実現しています。
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