今回は「推し活」「ファッション」「家電」のカテゴリーに注目して解説していきます。
「推し活」では「グッズを次の人に譲りたい」「他の人の推し活を応援したい」という文化が生まれる
ここ数年で推し活がブームになり、メルカリなどのフリマアプリを通して「推しのグッズ」の売買も活発になりました。推しを変えるタイミングにおいては、これまでのグッズを手放すことを考えるもの。また、ガチャなどで推し以外のグッズが出た場合も、売ることを考えますね。その時に活躍するのがメルカリなどのフリマアプリというわけです。
しかし、今回の調査で明らかになったのは、単にグッズを売ってお金を得るだけではなく、そのお金でさらに自分の推しグッズを買おうと考えること。そして、推し活をしている人に譲ることで、その人の活動をサポートしたいという気持ちがあるということです。
もはやフリマアプリの世界では、推し活をしている人同士が助け合うような「推し活循環社会」ができているのです。推し活が盛んになったこと、そしてグッズを売買できる場所があることがこの文化を作り出したといえそうです。
Z世代の中では「いつでも衣替え」が根付いてきている
ファッションアイテムは、季節の変わり目に衣替えをして、新しい服を買って、着なくなった服を売る……という流れが、これまでのフリマアプリのスタンダードでした。しかし、Z世代においては、季節は関係なく、好きなタイミングで洋服を入れ替えていく「衣替えの消候化」が起きています。Z世代にこの特徴が出やすいのは、ファッションに敏感であること、また、新しいアイテムを取り入れるには、それなりのお金がかかるために中古品を利用しているという点が考えられます。
欲しいと思ったアイテムを見つけたらすぐに検索して、できるだけ安く買うという意味でも、フリマアプリを活用しているのでしょう。
家電はできるだけ状態が良い時に売って、新しいものを買う傾向に
そのようなユーザーは、家電の買い替えのタイミングを、故障していない状態でも検討する傾向が見られます。壊れてしまうと家電の価値が下がり、売る時の価格が下がってしまいます。売れない場合もありますから、価値があるうちにできるだけ高い値段で売って、そのお金で新しい家電を買うことを考えているのです。
これによって何が起きるのかというと、「買い替えサイクルの短縮化」です。家電は新しければ新しいほど性能が良く、売る時の価格も高いです。
今回の調査で見えてきたのが、「推し活循環社会」「衣替えの消候化」「買い替えサイクルの短縮化」という3つの文化です。個人が参加できるフリマアプリができたことで、消費の世界でも新しい動きが見られます。
いずれもユーザーにとってはメリットの大きな文化ですから、今後はさらにアレンジが加えられていくのではないでしょうか。
この記事の筆者:川崎 さちえ
ネットオークション歴19年、フリマアプリ歴9年。NHK『あさイチ』をはじめとした多数の情報番組に出演し、経験に基づいた実践型のフリマアプリやオークションの魅力を伝えている。