睡眠時のエアコンは「つけっぱなし」と「小まめに消す」のでどちらが節電?【家電の専門家が解説】

睡眠時のエアコンはつけっぱなしと小まめに消すのでどちらが節電になるのか、家電エバンジェリストで「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が回答します。

睡眠時のエアコンはつけっぱなしと小まめに消すのでどちらが節電になる?
睡眠時のエアコンはつけっぱなしと小まめに消すのでどちらが節電になる?
暖房は「つけっぱなし」が良いという話も聞きますが、就寝時はどうしたらいいのでしょうか。

家電エバンジェリストで「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が回答します。
 

(今回の質問)
睡眠時のエアコンはつけっぱなしと小まめに消すのでどちらが節電になるのでしょうか?

 

(回答)
睡眠時に室温が下がるのが問題なければ、消した方が節電になります。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

長時間の外出時や就寝時は暖房を切った方が節電につながる

ダイキン工業が2017年に実施した実験では、長時間の外出や就寝時は「つけっぱなし」よりも「こまめにオン・オフ」の方がお得という結果になりました。
 
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「つけっぱなし」にした場合の室温、消費電力推移(画像出典:ダイキン
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想定スケジュールに合わせて「こまめに入り切り」した場合の室温、消費電力推移(画像出典:ダイキン
これは就寝時の23~7時までは「常時オフ」、7~23時までは外出時にオフにするというものです。日中(6~18時)はつけっぱなしの方が省エネですが、深夜~早朝(23~6時)、夜間(18~23時)はつけっぱなしの方が高くなるという結果になりました。

この実験では、23時にエアコンをオフにしたときには室温が約25度だったのに対し、翌朝7時には16度近くまで下がっています。とはいえ、ふとんから出られないほど寒いという室温ではないですね。

ちなみに、電気代としては23~6時は「つけっぱなし」が約95円、「こまめにオン・オフ(この場合は常時オフ)」では約8円という結果でした。

ある程度室温が下がっても睡眠に影響はない

「Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm(温熱環境が睡眠と概日リズムに及ぼす影響)」(水野一枝、水野康)という論文によると、一般的な睡眠に良い寝床内環境(ふとんの中の環境)は温度が32~34度、相対湿度が40~60%だと報告されています。

水野一枝氏の総説「環境温湿度と睡眠」によると、「寝具や寝衣を適切に使用すれば、若年者では3度、高齢者でも9度の低温環境までは睡眠に影響がない」とのことです。とはいえ、あまりに室温が低いと寝心地が悪くなりますし、寝相が悪くてはだけてしまったりすると寝冷えの危険性もあります。

就寝中もある程度暖かくしたいという人には、昼間よりも低い温度設定でつけっぱなしにするというのをおすすめします。環境省が提唱する「ウォームビズ」では、冬は20度の温度設定を推奨しています。昼間ではその温度設定だと薄着はできませんが、しっかりと寝間着を着た状態なら20度でも全く問題ないと思います。

朝に寒くて起きるのがつらいという人は、オンタイマーを使うのをおすすめします。起床時刻より30分ほど前に暖房をオンにするタイマーを設定しておけば、夜間はふとんの中でしっかり暖まりながら快適に就寝しつつ、朝は暖かい環境ですっきりと目覚められます。
     
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
 
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