連載「鉄道雑学ニュース」
乗り物の域にとどまらず、見ても、撮っても、もちろん乗っても面白い鉄道の世界。知れば知るほど奥が深くて面白い鉄道に関する最新情報&雑学を、「All About」の鉄道ガイドで旅行作家の野田隆が自ら撮影した駅舎や車両画像とともに分かりやすく解説する。
年末年始のJR各社は、初詣用の臨時列車や終夜運転など、この時期でしか見られない列車が多数運転される。コロナ禍や人員不足などの影響が見られる昨今だが、2023年末から2024年年始にかけては、どのような傾向が見られるのだろうか?
東海道・山陽新幹線「のぞみ」、全席指定に
まずは、東海道・山陽新幹線。例年と異なり、年末年始期間(12月28日~1月4日)は、「のぞみ」号を全席指定席として運転する。通常は自由席の1~3号車も指定席車となる。
「のぞみ」号は、1992年の運行開始から2003年9月30日までは、全席指定席だった。ということは、全席指定席は約20年ぶりの復活となる。
なお、今後3大ピーク期(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始)においては、「のぞみ」号は全席指定席(自由席設定なし)として運行することを発表している。
JRによると、理由は「繁忙期の自由席は超満員となることが多々あった。通路にも人があふれたり、ホームでは長い列ができ、混雑に拍車をかけてきた。途中駅での乗降にも時間がかかり、これが遅延やトラブルにもつながるし、安全面でも問題があった」というものだ。
参考:JRのリリース
東北新幹線「はやぶさ」、秋田新幹線「こまち」、成田エクスプレスなど一部の特急列車や私鉄の座席指定特急、それに航空機などは、すでに全車指定席なので、慣れてしまえば特に混乱はないであろう。今のところ、通年の全席指定席は考えていないようだが、様子を見て変更することもありうるのではないだろうか。
大みそかの終夜運転は?
年末年始といえば、まずは、大みそかの終夜運転がある。JR東日本では、山手線を含めて首都圏7路線で予定している。都心を走る路線以外では、初日の出のため高尾山、御岳山を訪れる人の便宜を図り、中央線は高尾まで(三鷹までは各駅停車のみ、三鷹~高尾のみ快速電車を運転)、青梅線は御嶽まで(途中通過駅あり)。
初詣の便宜を図り、横須賀線は横浜~逗子(鶴岡八幡宮など)、総武本線&成田線は千葉~成田(成田山新勝寺)。以上である。
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JR四国でも、琴平にある金刀比羅宮初詣用として、大みそかの終電後に1往復(高松~琴平)、元旦の始発前に1往復(多度津⇒琴平⇒高松)を各駅停車として運転する。これは、3年ぶりの臨時列車だ。
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初詣や初日の出を拝むための臨時列車
初詣や初日の出を拝むための臨時列車は、ほかにも多数設定されてきた。2020年末&2021年元旦にかけては、コロナ禍のため運行中止となったものの、その後は徐々に復活している。2023年末から2024年元旦にかけては、以下のように予定されている。
・JR東日本
初日の出鑑賞列車(2024年1月1日運転)
高尾・大宮・新宿⇒銚子 犬吠初日の出1号(E257系)、3号(185系)、5号(255系)
新宿→千倉 外房初日の出号(E257系)
新宿→河口湖 富士回遊85号(富士初日の出号)
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新潟県にある彌彦神社参詣用としては、弥彦新春初詣号(新潟方面からの吉田行きを弥彦まで延長運転)、弥彦初詣号(東三条~弥彦)がある。いずれも正月3が日のみの運転で全車自由席の普通列車だ。詳しくは、こちら
このほか、例年運転されているの宮島・厳島神社参詣用(広島~宮島口~大野浦)や最上稲荷山妙教寺参詣用(吉備線の岡山~備中高松)があるが、例年12月初旬に発表されるので、今のところ未定だ。
JR各社以外の鉄道会社は、例年11月下旬から12月初旬にかけて発表することが多い。どうなるか、リリースを待ちたい。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。