「拘る」には「こだわる」と「かかわる」の2つの読み方があります。今回は、「拘る」の正しい読み方や使い方、類語、英語表現の例文などをフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。
<目次>
・「拘る」の意味と正しい読み方
・「拘る」の正しい使い方と例文
・「拘る」の類語・言い換え表現
・「拘る」の英語表現
・まとめ
「拘る」の意味と正しい読み方
「拘る」には「こだわる」と「かかわる」の2つの読み方があります。「こだわる」は常用漢字としての読み方です。「かかわる」は常用漢字ではなく慣用読みです。慣用読みとは「誤読」などにより本来とは異なる読み方が広く用いられ定着した読み方のことです。
「拘る」と書いて「かかわる」と読む場合の意味に、「こだわる」があります。このことからも分かるように読み方は「かかわる」でも意味は「こだわる」となります。
拘る(かかわる)
「かかわる」は関係を持つ、重大なつながりを持つ、こだわるという意味になります。
「かかわる」というと一般的に「関わる」という文字が思い浮かぶのではないでしょうか。「関わる」の意味は関係を持つ、つながりを持つ、影響が及ぶという意味で、こだわるという意味はありません。
拘る(こだわる)
「こだわる」とは物事に妥協せずとことん追求する、ちょっとしたことを必要以上に気にする、気持ちがとらわれるということを意味します。1つのことに執着して融通がきかないことを表します。また、小さなことに難癖をつけて文句を言うことです。
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「拘る」の正しい使い方と例文
拘る(かかわる)
「かかわる」と読ませる場合の意味は「ある事柄と関係を持つ」ことを表しますが、「拘る」という意味があるように、つまらないと思えることに関係を持つときに「拘る」が使われることが多いです。ただ単に関係を持つ、仕事にかかわるという場合は「関わる」を使います。
【例文】
「つまらないことに拘わっていないで、自分のやるべきことを先に済ませるのが賢明です」
「彼はよくない噂を聞くのであまり拘わらないほうがいいでしょう」
拘る(こだわる)
「拘る」とは1つのことに執着している状態を表します。ほかのことに対し、余裕がない状態で使われる場合は、あまり良い意味では使われません。反対に、あることに対して妥協せずとことん追求し、その姿勢を褒めたり感心したりするときにも使われます。この場合は良い意味で使われます。
【例文】
「彼は拘りが強すぎて、人とうまくやっていけないところがあります」
「彼の拘りのスパイスを使った料理は素晴らしいです」
「あの研究結果は、彼の拘りの賜物だ」
「拘る」の類語・言い換え表現
「関わる」「係る」
どちらも関係を持つという意味です。こだわるというニュアンスはありません。
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「拘泥する」
1つのことに拘り、固執することを意味します。あまり良い意味では使われません。
「意志を貫く」
心に決めたことを最後までやり抜くさまを表します。あることに拘り、自分のやりたいという気持ちを押し通すことを意味します。良い意味の表現として使われます。
「固執する」
意見や考えを主張して譲らないことを指します。過去の出来事が忘れられず「過去に固執する」というような使い方もします。ネガティブなニュアンスを含みます。
「拘る」の英語表現
be particular about
particular は「特別の」「特有の」という意味があります。particular aboutで好みがうるさいという意味になります。
【例文】
She is particular about her food.
(彼女は食べ物に拘りがあります。)
not compromise
「妥協しない」という意味です。つまり「拘る」ことを表します。
【例文】
He is not compromise his idea.
(彼は自分の考えに妥協しません。)
picky
選り好みをする、細かいことに拘るという意味です。こだわりがあってうるさいというネガティブなニュアンスも含んでいるので使うときには注意が必要です。
【例文】
You are so picky.
(君は細かいことに拘るよね。)
He is picky about language.
(彼は言葉遣いにうるさいです。)
stick to
あることに執着して離れられない様子を表します。「stick」はくっつくという意味の動詞で、何かにくっつき離れないことを表します。一般的にポジティブな意味合いで使われます。
【例文】
He decided to stick to his plan.
(彼は自分の計画を守ることに決めました。)
まとめ
「拘る」には「こだわる」と「かかわる」の2つの読み方があります。良い意味でも悪い意味でも使われますが、現在では物事にこだわることが悪いことではなくなってきています。
「かかわる」という読み方は常用漢字としての読み方ではなく慣用読みのため、一般的には「こだわる」と読むことが多いでしょう。検定試験などでは「こだわる」と書くようにしましょう。また、「関わる」は常用漢字で「係る」は慣用読みですので試験では「関わる」という漢字を使いましょう。