なぜ? ヨーロッパの語学レベルは「自己評価」
ちなみにヨーロッパで語学をアピールする際には、自己評価であることが少なくありません。国連や大企業などの求人サイトでは、オンラインでの応募時に語学力を入力する欄があるのですが、その大概がBasic(基礎レベル)、Conversational(日常会話レベル)、Fluent(流ちょう)、Native(ネイティブ)など、大まかに分けられたカテゴリーへの自己申告制です。実際の語学力は、あくまでも面接時にじっくりと試されるのが前提だからです。
ところが日本では外国人でもない限り、面接官も受験者も外国語での面接に慣れていないことがほとんどでしょうから、おのずと他の客観的評価に頼らざるを得ず、したがって検定試験や資格が基準として重宝されるのだと思います。
日本独自の「ガラパゴス資格」とどう向き合うか
語学分野において、TOEFLやIELTS(アイエルツ)ではなく英検、GOETHE(ゲーテ)ではなくドイツ語技能検定というように、その言語が使用されている本国の検定ではなく、“日本国内でしか通じない、日本人による、日本独自の”使えないガラパゴス資格を設けていることも日本の特徴であり、英検の新設級についてのニュースが「資格ビジネス」と非難された原因の1つでしょう。
隣国と海で隔てられた日本では外国語を話す必然性にどうしても乏しく、「しゃべれずとも受かってしまう」語学検定である現状を理解した上で、受検者自身が、例えば中学・高校・大学入試での活用や語彙力アップといった資格取得の目的を明確にする必要がありそうです。
この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。