All About ニュース編集部は、2023年7月26日~9月26日の期間に、奨学金を利用したことがある人を対象としたアンケート調査を実施。奨学金を借りた理由や返済にまつわる不安などを伺いました。
今回は、家の経済事情を気遣い、奨学金を受け取れる進学先を選んだ30代女性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:30代女性在住:東京都調布市
家族構成:既婚(子なし)
住居形態:賃貸
職業:派遣
年収:300万円
現在の貯金額:700万円
回答者の奨学金の状況
借りた奨学金の種類:貸与型奨学金返済状況:完済
奨学金で利用した金額(総額):約65万円
奨学金の月々の返済額:まとめて支払った
奨学金以外に借入しているもの:特になし
文部科学省が発表した「高校生等の就学支援に関する参考資料 平成29年5月」によると、都道府県の実施する貸与型奨学金事業を利用している高等学校の生徒の割合はわずか4.3%でした。
「親に金がないと言われ」奨学金を目的に進学先を選択
大学や大学院に通う学生が利用できる奨学金に比べ、まだマイナーな高等学校の奨学金。高校で奨学金を利用した理由を尋ねると、回答者は「親に金がないと言われ続けたせい。高校に行くのにも金銭的に、親に頼りたくなかったので推薦で奨学金が出る高校で選んで入りました」と、親を気遣った過去を述べました。
しかし、「奨学金があれば親に楽させてあげられると思ったけど、親はお金があれば自分の欲しいものに使いたいひとだったので後から思えば意味はなかった」「正直、親のためとおもっていろいろ諦めてしまったが、結局親は変わらなかったので利用しても意味がなかったんだと思った」と、親に対して現在抱いている複雑な心境も告白しています。
返済遅れで親戚にも連絡が「恥ずかしいしつらかった」
なかなか返済が進まず、最終的にはまとめて奨学金を返した回答者。当時について「社会人になって、やっとお金を自由に使えるようになったのに、学費を払うのに消えていくのは悲しく思った。利息とかもないし少し遅れてもいいか、、と思い返済が遅くなると親戚にまで連絡がいくこともあって、恥ずかしいしつらかった」と苦い思いを語りました。
続けて、「私は幸いにも、学校を卒業して正社員で就職先が見つかったので、一応は返済できる環境だったけれど、職に就いていない人はとても不安だと思います。正社員でもお給料によっては返済がきついと思うし借金しているのは気分的にも不安だった」と、その他の奨学金利用者を心配する思いを告白。
給料の多寡にかかわらずのしかかる奨学金の負担を懸念しています。
「高校の授業料を免除してほしい」
アンケートの後半、回答者は「高校はもはや必須となっていた時代だったので(今もですが)高校生までは義務教育として授業料は免除にしてほしい」と、高校の授業料を無償化してほしいとの願いを明かしました。また、「どうせなら、大学まで奨学金で入ってもっといい企業に就職できていたら人生変わっていたのかなとも思う」と、進路選択への後悔にも言及。
奨学金制度の有無や家庭の経済状況によって進路が狭まることのないよう、政府にはさらなる対応が求められています。
※回答者のコメントは原文ママです
この記事の筆者:てらこ
横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するライター。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。X(旧Twitter):てらこ@ライター(@TeraWEB1)