デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第18回は「仕事を匂わせるDMで誘われたランチデート」について紹介する(第17回はこちら)。
DMでランチに誘うアラサー男性の正体は……!?
「ねぇ、DMでこの人に誘われてさ」ライターをしている友人数人と食事をしていた時のこと。A子がX(旧Twitter)の画面を見せながらつぶやいた。
Xのアイコンには、アラサーくらいの男性の横顔が写っている。フォロワーは5000人ほどで、職業は新規ビジネスを立ち上げる若手起業家、という肩書である。
Xだけを見ると、プライベートでカジュアルな日常生活の投稿が並んでいるが、彼の名前・田中〇〇(仮名)を検索してみると、彼の事業開発についてのインタビューがいくつかヒットする。
「ランチで盛り上がって、今度またご飯行こうって話になって」
A子はうれしそうに笑う。絶賛彼氏募集中だからだ。
しかし、田中のXのアイコンを眺めながら、「この顔、どこかで……」と感じた筆者は、自身のSNSのDMをさかのぼった。すると、筆者にも田中からのメッセージが届いていたのだ。
「私もこの田中って人からDMきたことあるかも」
「え、私もなんだけど」
驚いたことに、その場にいた女性メンバー4人のうち3人が田中からのDMを受け取っていた。ちなみに内容は共通している。自己紹介に加えて、以下のようなものだった。
「〇〇さんが書いていた記事を読みました! 大変面白かったです。うちの事業でもメディアを立ち上げる話が出ていて、よかったら少しお話を聞かせてもらえませんか? よければランチでも」
丁寧に誘うが、食事をおごるかどうかは会ってから決めている
「えぇ、まじか……ただのネトナン野郎じゃん」自分だけでなく、自身と近しい年齢と職業のアラサー独身女性たちに、無差別にDMを送ったことを知ったA子は「本気で好きになる前でよかった」と、少し落ち込んだ様子だ。
そんなA子を横目に、DMを受け取ったことのあるB美は強い口調で忠告した。
「この田中って人、タイプの女性にはランチをおごって、タイプじゃない女性にはおごらないらしい」
ちなみにB美の友人であるライターの女性は、田中に誘われてランチに行ったものの、完全に割り勘だったという。
だが、B美の友人は、後日田中から数本コラムの執筆依頼があったので「仕事の話」というのはうそではなかったようだ。
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