「奨学金と保育園代で給料の7割が消えた」30代女性が抱える奨学金制度の不満

大学や大学院に通う学生の教育費の支援を目的としている奨学金制度。この記事では、編集部が実施したアンケートの回答にもとづき、子育てしながら奨学金の返還を続ける30代女性のエピソードを紹介します。

「奨学金と保育園代で給料の7割が消えた」30代女性が抱える奨学金制度の不満
「奨学金と保育園代で給料の7割が消えた」30代女性が抱える奨学金制度の不満
大学や大学院に通う学生の教育費の支援を目的としている奨学金制度。経済的な事情で進学をちゅうちょしている学生にとっては役立つ制度であるものの、奨学金の返済に関する悩みや不安は後を絶ちません。

All About ニュース編集部は、そんな奨学金について、2023年7月26日~9月26日の期間にアンケート調査を実施。実際に奨学金を利用した経験がある人を対象に、奨学金の貸与額や返済に関する不安などを伺いました。

今回は、アンケートで得た回答にもとづき、子育てしながら奨学金の返還を続ける愛知県名古屋市在住・30代女性のエピソードを紹介します。

回答者のプロフィール

回答者本人:30代女性
在住:愛知県名古屋市
家族構成:既婚(子あり)
住居形態:持ち家(マンションなどの共同住宅)
職業:パート・アルバイト
年収:300万円
現在の貯金額:200万円

回答者の奨学金の状況

借りた奨学金の種類:貸与奨学金
返済状況:現在も返済中
奨学金で利用した金額(総額):450万円
奨学金の返済残高:120万円
奨学金の月々の返済額:1万9500円
奨学金以外に借入しているもの:特になし

独立行政法人日本学生支援機構の令和2年度学生生活調査結果によると、奨学金制度を利用している大学生の割合は49.6%であり、現在も半数近くの学生が奨学金を利用して大学に通っています。

奨学金を借りた理由「どうしても大学にいきたかった」

大学進学をきっかけに奨学金を利用した回答者。

詳しい理由を聞くと、「親からの援助がなく、学費の捻出は高校卒業時にはできなかったので大学に行くための条件の一つだった。どうしても大学にいきたかったので必要だった」と経緯を明かしました。

「保育園代と奨学金で給料の約7割が消えた」子育て中の苦しい生活

奨学金の返済で辛かった経験を尋ねると、「卒業後すぐ結婚、出産をしたので保育園代と奨学金でかなり出費が大きかった。子供が小さいので遅刻早退を繰り返したので給料の7割くらいがこの二つで消えた時期があり何のために働いているのかとても切ない気持ちになった」と、保育園に子どもが通っていた時期の苦しい過去を告白。

加えて、「機関保証制度を利用しているので、万一の場合は心配してないがやはり月約2万円の返済はちゃんと返すことができるのかはとても不安になる。また、20年も払い続けないといけないことに対してちゃんとできるかは不安」と、将来に対する不安な思いも打ち明けました。

なお、奨学金の機関保証制度とは、奨学金を借りる際に保証機関の連帯保証を受ける制度のことを示します。保証機関へ一定の保証料を支払う必要がありますが、この制度の活用によって保証人なしでも奨学金の利用が可能です。

しかし、どうしても返還できず保証機関が本人に代わって返済した場合でも、本人はその返済額を保証機関に対して返さなければなりません。

収入減少を無視する奨学金「制度を拡充してほしい」

奨学金制度について、回答者は「猶予などの制度を拡充してほしいと思う」と切実な願いを語りました。

また、「子供が小さい時に、月2万円の返済はとてもしんどかった。卒業後すぐ結婚、出産だったので、全然お金がなく働くことも十分にできなかった」と、結婚から産後までの収入減少と当時の心境を告白しています。

出産や育児は、人生の中でも貴重な時期でありながら、金銭面や心身の負担が大きいハードな場面でもあります。奨学金が家族の幸せの妨げにならないよう、国は制度を変える必要があるのかもしれません。


※回答者のコメントは原文ママです

この記事の筆者:てらこ
横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するライター。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。X(旧Twitter):てらこ@ライター(@TeraWEB1)
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