ジャニーズ事務所は10月2日、都内で記者会見を開き、社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更すると発表しました。
会見前には「新社名はファンからの公募で決定する」との一部報道もありましたが、タレントのマネジメントなどを担当する新エージェント会社については社名をファンクラブから募集。ジャニーズ事務所については同事務所が社会貢献するプロジェクト「Johnny's Smile Up! Project」の一部を採用したSMILE-UP.の名称とし、被害者への補償と心のケアに全うする新体制で再始動を図る方針を示しました。
なぜこのタイミングで社名変更を決定したのか
本会見は同社創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受け、より具体的な再発防止策を公表する場として設けられたもの。「再発防止特別チーム」が提言した内容に基づき、社長の東山さん、ジャニーズアイランド社長の井ノ原さんらが登壇し、新たな方針を発表しました。
9月7日に行われた会見の冒頭では、元社長の藤島ジュリー景子さん、東山さんが性加害問題について事実と認め、謝罪。ジュリーさんの辞任と東山さんの社長就任が発表されましたが、社名はそのまま、ジュリーさんは性加害問題の補償を進めることを理由に取締役として残留し、100%保有する同社株を手放さない方針としていました。
この発表に対し、会見では特に社名変更をしない点について厳しい指摘が相次ぎました。中には「犯罪者の名前を社名に使うのか」といった趣旨の質問もありましたが、東山さんは「人類史上、最も愚かな事件だと思います」と故ジャニー氏を糾弾しつつも、社名変更については明言しませんでした。
会見後、同社タレントを起用した広告契約の解除やテレビ番組での露出減など、各社が“ジャニーズ離れ”を表明する動きが加速。帝国データバンクが9月20日に行った調査では、ジャニーズ事務所のタレントを広告に起用する上場企業65社のうち、32社が「放送等中止」「契約を更新しない」と表明していることが分かりました。
ジャニーズ事務所は9月13日、今後1年間は広告出演や番組出演などの出演料は全てタレント本人に支払い、同社は芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないことを発表。今回の会見で東山さんは「批判されて当然のことだと思っていた。真剣に討論してきた結果、現在のジャニーズ事務所はタレントのマネジメントや育成からは離れ、被害者への補償と心のケアに全うしていく」と語っています。
事実上、社名変更は避けられない状況となる中、同社としてはジャニーズ事務所の看板を下ろすことを決断。別途、ファンクラブで名称を募集する新会社に所属タレントを移籍させることで、事態を少しでも収束させたい狙いがあるようです。
被害者への補償は11月から開始
同社は今後、新体制公表に伴い外部からのチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を設置。人権に対する基本方針の策定と実施、その内容を含めた社内規程整備などを行っていきます。
被害者からは現時点で478人から申し出があり、そのうち補償を求めている人数は325人とのことです。
井ノ原さんは会見の冒頭で「一部の方だと信じているが、被害者への誹謗中傷は本当にやめて頂きたい。被害に遭われた方が声を上げた勇気があったからこそ、会社が大きく変わることになった。何卒お願いいたします」と訴えています。