(今回の質問)
9月以降、室温と設定温度の差が小さくなる夜間は、こまめに消した方がよいのでしょうか?
(回答)
こまめに消しても室温が大きく上がらないため、省エネ面で効果があります。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
猛暑日でなければこまめに消すのも効果的
エアコンは必要に応じて暖房/冷房能力を変えられる機能(インバーター)を備えているため、「冷暖房をスタートしたとき」に最も消費電力が大きくなります。真夏の暑い日、真冬の寒い日は、設定温度に達するまでフルパワーで冷暖房を稼働させるため、その時間帯に最も電気代がかかるのです。
一方で設定温度に達してからは、設定温度を維持するために冷暖房を稼働させるため、スタート時に比べて消費電力が下がります。真夏の猛暑日で窓から日差しがどんどん入ってくる場合や、部屋の断熱性能が低い場合は温度を維持するために大きな電力を消費する場合もありますが、スタート時に比べると小さくなります。
しかし、こまめにエアコンを消すと、夏には室温が一気に上がり、冬には一気に下がってしまいます。そのため再度エアコンをスタートしてから設定温度に達するまで、またフルパワーで稼働しなければならなくなります。快適性が損なわれる上に、省エネの点でもお得にならない可能性があるのです。
10~20分程度の外出でもこまめに消す方が効果的な可能性も
ダイキン工業が「夏のエアコンつけっぱなし検証」を実施したところ、「日中なら35分まで、夜は18分までの外出であればエアコンを『つけっぱなし』の方が安い」という結果になりました。
これは最高気温36.9℃の猛暑日に冷房26℃で稼働した場合の結果ですが、注目したいのは「夜」の方です。真夏のものすごく暑い昼間には、少しエアコンを切っただけで室温が一気に上がってしまうため(実験では約1時間で約3℃上昇)、こまめに消す効果があまり出ません。しかし夕方以降は室温が大きく上がらないため(同様に約2時間で約2.5℃上昇)、効果が出やすいというわけです。
この実験結果から見ると、真夏に比べて暑さがある程度収まる9月以降なら、エアコンをこまめに消す効果が出やすいと推測できます。消した後には室温が上がるため快適性が損なわれるリスクはあるものの、10~20分程度の外出でもこまめに消すことは省エネにつながる可能性は十分にあります。
参考:「つけっぱなしが“お得”という説は本当なのかを検証せよ!」(ダイキン工業)
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。