(今回の質問)
台風の名前はどうやって決まるのですか?
(回答)
「台風委員会」という組織が決めています。日本からもいくつか名前を提案していて、星座の名前が由来となっています。
台風には番号のほかに「アジア名」がある
台風の名前は、「台風委員会」という組織が決めています。この委員会は台風の影響を受けるアジアを中心とした14の国や地域で組織されている国際的なものです。台風名は「第1号」「第2号」などの番号のほかに「アジア名」というものがあり、台風委員会に所属している国や地域がそれぞれ持ち寄った計140個の名前をリスト化しています。台風が発生したら、そのリストから順番に割り当ててすぐに台風名が決まる仕組みです。
台風の発生数は年間でおよそ25~26個なので、おおむね5~6年でそのリストは1巡することになります。
なぜ日本が出した台風名は星座の名前が由来なの?
日本が提案している名前は全部で10個あり、星座の名前が由来になっています。例えば「ヤギ」「ウサギ」「クジラ」などがあります。
日本が星座の名前を提案している理由は、特定の個人や法人の名前ではないこと、比較的利害関係が生まれにくいこと、また、ほかの国や地域の言葉で感情を害するような意味ではないということが理由として挙げられます。
ほかの国や地域が提案している台風名にはどんなものがある?
ほかの国が提案している台風名に、タイの「プラピルーン(Prapiroon)」(意味:雨の神)、アメリカの「アイレー(Aere)」(意味:マーシャル語で嵐)などがあります。
マカオが挙げた「バビンカ(Bebinca)」という名前もありますが、これはプリンという意味です。そのほか、韓国ではタヌキの意味を持つ「ノグリー(Neoguri)」など、ユニークなものもたくさんあります。
台風名のリストは毎年更新されている
甚大な災害をもたらした台風の名前は今後は使用しない決まりとなっているため、台風名のリストは毎年更新されています。
例えば、2019年に千葉県を中心に大規模な停電をもたらした台風15号ですが、このときの台風名はラオスが命名した「ファクサイ(Faxai)」(意味:女性の名前)でした。ファクサイはその後、引退しています。
同じく2019年に多摩川が氾濫するなどの被害を出した台風19号は「ハギビス(Hagibis)」という台風名でしたが、ハギビスも引退しています。
1991年生まれの気象予報士。現在は『首都圏ネットワーク』(NHK総合)などで気象解説を担当。防災情報を正しく活用してもらうための普及啓発として講演活動にも取り組む。毎日の天気予報では空や季節の変化を感じる楽しみを、いざという時は的確な防災情報を伝え、暮らしに役立つ天気予報を目指す。目標は「あなたの半径5メートルの暮らしを変える気象予報士」になること。