仕事の相談をした女性。パートナーから説教?
もし、交際しているパートナーからこんな相談LINEが来たら……。以下はとあるカップルの会話である。仕事で上司に怒られてしまった美香さん(28歳/仮名)が、恋人である誠也さん(29歳/仮名)に送った愚痴LINEだ。2人は週末にデートの約束をしているため、美香さんは、「早く週末になってほしい=早く会いたい(涙)」と誠也さんに送った。
すると誠也さんからは、「先輩と向き合うことが美香の成長につながる」というLINEが。このLINEに対して美香さんは「説教」だと感じてしまったそうだ。一方、相談されたからには何か解決策を提示しなければと感じた誠也さんは「アドバイス」を送信する。しかし、それが余計に美香さんをイラつかせる原因になってしまった。
美香さんが欲しかった返信。それは「そっか。大変だったね」という「共感」だった。
過去に筆者もこのようなLINEを恋人から受け取ったことがある。これは、カップル間でよくある会話のシチュエーションだ。
仕事で悩んでいても、恋人には打ち明けない男性
一方、こんなカップルの「すれ違い」やりとりも。以下は、週末のデートで見る映画の相談をするカップルのLINEである。映画を楽しみにしている洋子さん(28歳/仮名)は、恋人の修人さん(29歳/仮名)に気になる映画を挙げ、彼に意見を求めている。しかし修人さんからは「仕事が忙しい」というそっけない返答が。
このLINEを受け取った洋子さんは「え? なんで? そっけなくない?」と感じ、修人さんに何かあったのではないか、と心配した。
実際にこの時、修人さんは、前述の美香さんと同じように仕事で悩んでいた。しかし、恋人である洋子さんに、仕事の相談をすることはなく、ただ「忙しい」というひと言で片づけてしまったのである。
これに関して洋子さんは「私に相談してほしかった」と感じたそうだが、これまで修人さんが洋子さんに仕事の相談事をしたことは1度もない。
このように、悩んだ時に男女が望むことの違い、そしてすれ違いは恋愛場面で頻繁に起こっている。
男性は、悩みを打ち明けるのが恥ずかしい?
以前、筆者は男友達に「なぜ、女性はよく女子会をするのか」と聞かれたことがある。なぜ、と言われると難しいが、友人に共感してもらえることで「すっきり」することがあるからだ、と答えた。例えば、仕事や自身のプライベートで悩んだ時、悩みを共有した友人に「うんうん、分かる」「大変だったね」と言ってもらえたり、愚痴を言い合ったりすることで、たとえ問題が解決していなくても、女子会が終わったあと「話聞いてもらえてすっきりした!」と感じることは多い。
しかし、それは多くの男性には当てはまらないようだ。この男友達も、そもそも男性同士で飲みに行っても「悩みを友人に打ち明けることは多くない」という。さらに「女性の前ではいい格好をしたいから、弱いところはなおさら見せたくない」のだそうだ。
一般社団法人「Lean In Tokyo」が2019年の10月に実施した調査(男性309人が対象/オンライン上でのアンケート調査)によると、職場、学校、家庭で「男だから」という固定概念やプレッシャーにより、多少なりとも「生きづらさ」を感じたことがある人は、78%に上った。
その理由として20代男性の2位に挙げられたのが「男性が弱音を吐いたり、悩みを打ち明けることは恥ずかしいという考え」。ほかの年代と比べても、20代男性は、他人に悩みを打ち明けること=恥ずかしい、という意識が強いという結果になっている。
恋人が悩んでいる時、女性は「どうしたの? 話聞くよ」と言いたくなってしまうが、それでは余計にストレスを与えてしまう可能性もある。それよりも大切なのは「お仕事頑張ってね」「週末楽しみにしてるよ」と、温かく見守る姿勢なのかもしれない。
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この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。