LGBTQ差別は、れっきとしたパワハラ。企業が必ず知っておくべき「SOGIハラ」「アウティング」とは?

LGBTQへの理解を広げるための社会的な取り組みの基本理念を定めた「LGBT理解増進法」が成立しました。しかし、実は以前にもLGBTQの差別を禁止する法律は制定され、企業にもSOGIハラやアウティングの防止策に取り組むことが義務づけられてきました。その内容について詳しく解説します。

企業は、まず「SOGIハラ」「アウティング」を防止する施策を

この「パワハラ防止法」に基づき、社内でSOGIハラやアウティングが起こらないような防止策(社内研修などの周知)を講じることは、すでに会社の義務となっています。つまり、LGBT理解増進法以前に、性の多様性への理解を進める啓発は職場では義務化されていたのです

今回成立したLGBT理解増進法は、職場だけでなく、学校や自治体も含め“広い範囲”にわたって、性の多様性への理解を広げる取り組みを求める、総合的な理解促進の方向性を定めたもの。大ざっぱに言うと、範囲が広くて、ゆるいものです
 
まず企業に求められるのは、(セクハラなどと同様に)SOGIハラ、アウティングを防止する施策を進めること。LGBT理解増進法の具体的な対策については、今後政府から示される基本計画や指針を待って取りかかるということでよさそうです。
  

社内のLGBTQ施策で参考にしたい「PRIDE指標」とは?

もし企業が、SOGIハラ、アウティング防止策も含めて総合的に社内でLGBTQ施策に取り組みたい、(社内にもきっといるであろう)LGBTQの従業員も納得するようなかたちで進めたいと考えている場合は、「PRIDE指標」を参考にしましょう。

PRIDE指標とは、海外の同様の仕組みを参考に、2016年に当事者団体と企業が協働して策定した評価指標のことです。

職場でのLGBTQ施策が、

Policy:行動宣言
Representation:当事者コミュニティ
Inspiration:啓発活動
Development:人事制度、プログラム
Engagement/Empowerment:社会貢献、渉外活動


という5つのカテゴリに整理、分類され、きめこまかな評価項目が示されています。

これによると、企業には社内研修や相談窓口の設置だけではなく、社内規程などできちんと差別の禁止を明文化することパートナーが同性でも慶弔休暇を取れるなどの人事・福利厚生制度の平等化トランスジェンダー社員への配慮、そしてプライドイベントへの参加など社外活動も求められています。

全てを満たすと、ゴールドの認定が得られ、「わが社はLGBTQ施策において満点の評価を得ました」と胸を張って言うことができるようになるのです。

すでに「PRIDE指標」ゴールドの認定を受けているような企業は、LGBT理解増進法によってさらに何らかの取り組みを求められるということは考えにくいため、おそらくそのままで大丈夫でしょう。
 

「LGBTQの当事者が安心して生きていける社会を目指すこと」を指針に

皆さんの中には、「LGBTという言葉は聞いたことがあるけどSOGIは知らなかった」「アウティングとカミングアウトの違いが分からない」と思っている人もいるかもしれません。さまざまな疑問があるかと思いますが、少しずつ学んで、LGBTQやその差別防止に関する理解を深めていっていただきたいと思います。

大切なのは、こうした取り組みや施策の根本は「LGBTQの当事者が、差別を受けることなく安心して生きていける社会を目指すためにある」と認識することです。ですから、当事者が何に困っているか、困っていることを解消するためにはどういう支援が必要かを考え、解決していくといった基本姿勢がブレなければ、問題はありません。


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この記事の執筆者:後藤純一 プロフィール

All Aboutのセクシュアルマイノリティ・同性愛ガイド。アウト・ジャパン執行役員。京都大学卒業後、ゲイ雑誌編集者、校正者などを経て、Webメディアを中心にライターとして活躍。過去に、東京のレインボーパレードの実行委員やHIV予防啓発などのコミュニティ活動にも携わる。

 
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