サイゼリヤは安い。「スープに小エビのサラダ、イカの墨入りスパゲッティ、チョリソー、ドリア、デザート2種」を平らげてしまった食いしん坊の筆者も、3000円ほどの出費で済んでいるのだから、コスパのすごさは言わずもがなである。
そんなサイゼリヤで、4万円以上使ってしまったという投稿がTwitter上で話題になっている。
投稿された伝票の写真には確かに「合計(税込)40,900」の字が。「サイゼリヤで4万円超え!?」と思わず声が出てしまったが、よく見るとガーリックトーストが185本となっている。
投稿者はいったいサイゼリヤでどんな注文の仕方をしたのか? 東京都八王子市で包丁研ぎ屋「きらら工房」を営むきららstudio(@kirarakoubou397)さんに話を伺った。
「?」「??」「?????ガガガガーリックトースト185本!?!?!?」
――サイゼリヤにはよく行かれるのですか?
きららstudioさん(以下、きららstudio):あの日はイベントで包丁研ぎをした帰りでした。売上が振るわず、自然と「サイゼリヤに行こう」となりました。「富めるときも貧しきときもサイゼリヤは優しい」が家族間での共通認識でして。まぁ、富めるときはあまりありませんが……(笑)。
――伝票を見たときのお気持ちをお聞かせください。
きららstudio:好きなものを好きなだけ食べて、伝票を手に取り驚きました。サイゼリヤらしからぬ桁数の金額でしたから。「?」「??」「?????ガガガガーリックトースト185本!?!?!?」の段階を踏み、直後に「ガーリックトースト185本って(笑)」と妙に面白くなりました。
――そんなガーリックトーストの味はいかがでしたか?
きららstudio:普通のフランスパンより薄皮で外はサクパリ、中はホワホワ、ガーリックが香ばしくて最高においしかったです。サイゼリヤのパンは、これに限らず熱々で提供されるので大好きですね。この日も頼みましたが、オススメはエスカルゴのオーブン焼きとセットで食べることです。サイドメニューからメインメニューのような食べごたえのある逸品になります。
――185本食べられそうでしたか?
きららstudio:気持ち的には永遠にサクパリホワホワいけそうでしたが、残念ながら気持ちと体は別なので「残りの184本はまだですか?」と店員さんに言うことはできませんでした(笑)。
その後、この伝票を追加注文分の伝票と一緒にレジに持って行ったきららstudioさん。無事に訂正された額面を請求されたとのことだ。
きららstudioさんは今や珍しい包丁の研ぎ師ということで、お仕事についてもお話を聞いた。
――ところで、研ぎ師って今もいらっしゃるんですね。
きららstudio:昔は街に研ぎ屋が何軒もありました。今は簡易シャープナーなどもありますが、あれは刃先のみを一時的に尖らせるもので、その場しのぎでしかありません。砥石で研ぐと刃先だけではなく、刃の厚みの調整もできます。また、調整次第で長持ちさせたり、切れ味に特化させたりと、希望に合わせることも可能です。
――工房について教えてほしいです。
きららstudio:きらら工房は私と窓際営業部長の猫のきららのみで運営している工房です。人からもらった良い鋼包丁を研いだのをキッカケに20年以上研ぎ続けて、2022年から仕事として研ぐようになりました。世界に誇る大阪府堺市の堺打刃物の研ぎ師の方々に研いだ包丁を見てもらい、家庭用包丁に関してはお墨付きをもらっています。
また、研ぐだけではなく、店頭での販売やイベント出店も行っています。研ぎ師目線で本当に良い包丁を取り扱っており、八王子での品ぞろえは随一と自負しています。中古の包丁を研いで再生させたものの販売も人気ですね。包丁は、メンテナンスをすることで長く使うことができます。切れなくなったら買い替えるのでなく包丁研ぎをすることで、お得に新品の切れ味になる感覚をぜひ味わってほしいです。
サイゼリヤの伝票について取材するつもりが、思いがけず包丁研ぎの魅力を知ってしまった。本稿を読んだあなたも、これを機に切れ味抜群の包丁を手に入れてほしい。
取材協力:きららstudio(@kirarakoubou397)
包丁研ぎのきらら工房(@kira2koubou397)
出店日時・場所:東京都八王子市周辺で不定期開催。詳しくはホームページやSNSにて告知。