JR四国、JR貨物、JR西日本、東急が協力して運行する「THE ROYAL EXPRESS 四国・瀬戸内クルーズトレイン」。その旅行プランが決定し、6月30日、東京・渋谷で行われたメディア関係者向け説明会で詳細が発表された。
魅力的な3泊4日の行程
普段は、横浜駅から伊豆急下田駅まで走っているクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS」。2020年からは夏季に北海道ツアーを特別運行して人気を博してきた。このたび、2024年1月から3月にかけて特別運行第2弾として、岡山発着の四国・瀬戸内クルーズを行うこととなった。
3泊4日の行程は以下の通り。
1日目 岡山駅発、瀬戸大橋を渡り、いったん高松駅に向かった後、折り返して琴平へ。専用バスで琴平観光を行った後、宿に向かう。
2日目 宿から専用バスで多度津駅に向かい、列車で瀬戸内海の車窓を楽しみながら松山駅へ。専用バスで宿泊施設に向かう。
3日目 松山駅から列車で今治駅へ。専用バスでしまなみエリアの観光を楽しんだ後、瀬戸内海に浮かぶ島にある瀬戸田の宿泊先へ。
4日目 宿から専用バスで今治駅に向かい、列車で高松駅へ。水戸岡鋭治氏がデザインした豪華客船フェリー「おりんぴあどりーむ せと」で瀬戸内クルーズを楽しみ新岡山港へ。専用バスで岡山駅に向かい旅を締めくくる。
日程、旅行代金、販売
日程は2024年1月26日(金)~29日(月)ほか、3月1日発まで6回を予定(いずれも金曜日発で3泊4日)。旅行代金は2人1室利用の場合、1人あたり96万円(税込)から。一般販売は7月27日から予定しており、2023年6月までに宿泊を伴うTHE ROYAL EXPRESS クルーズプランに2回以上参加した人には、リピーターとして先行販売を行うという。
ゆったりした列車ダイヤ
列車の編成については、先にお知らせしたとおり、THE ROYAL EXPRESS 8両編成を5両編成に短縮し、電源車を介し、電気機関車けん引での運行となる。予讃線の多度津以西は単線の上、特急列車が頻繁に行き交っているので、ダイヤ上の制約が多い。列車行き違いなどの待ち時間が増えることもあり、所要時間は大幅に延びている。しかし、クルーズトレインの性格上、それはマイナスになるどころかプラスに作用し、旅はのんびり、ゆったりしたゆとりあるものになるであろう。長時間停車する駅での地元との交流やイベントも計画しているようで、ツアーの楽しみはさらに増えそうだ。バイオリニスト大迫淳英氏の奏でるテーマ曲も従来の曲をアレンジした新たなものになり、車内や停車駅で頻繁に披露されるであろう。
4日間の昼食は名料理人のぜいたくな競演
4日間の昼食は、車内で提供することとなり、四国の名料理人4人の競演となる。このうち、説明会では春祝魚(はるいお)寿司、和三盆、みかんジュースが振る舞われ、ひと足先に車内での食事の雰囲気をわずかではあるが体験できた。
よく練られたツアーの成否は?
JR四国の長戸正二 専務取締役鉄道事業本部長が「四国で暮らして50年以上になるが、四国の魅力が詰まった素晴らしいプランに驚いている」と語ったように、実によく練られたツアーだ。70歳以上のシニア層が参加者の大半を占めそうだが、どんな評判となるか。北海道ツアーのように定着するかどうか、関係者は固唾(かたず)をのんで来春の成否を見守ることとなろう。
ツアーの詳細は、こちら
取材協力=東急、JR四国
この記事の筆者:野田 隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(ともに平凡社新書)がある。