中学受験「学習管理はエクセルで」「日常会話を学びに」。父親たちが想像以上にアツい事実が判明

中学受験は母親の負担が大きい、専業主婦が有利……そんなイメージがありますが、最近では、父親が積極的に関わる家庭も増えているようです。中学受験を経験した保護者に話を聞いてみました。

中学受験は親の受験ともいわれ、特に母親の負担が大きいイメージがありますが、最近では父親が積極的に関わる家庭も増えているようです。中学受験を経験した保護者に話を聞いてみると、熱心な父親たちの様子が明らかになりました。

中学受験に積極的な父親が増えている

>中学受験の家庭学習は親の関わり方が重要に?
 

「子ども任せ」は難しい中学受験。熱心に関わる父親たち

中学受験に挑戦する場合、一般的には学年が上がるにつれ家庭での保護者負担が増えていきます。6年生の保護者の6割前後が学習の進捗(しんちょく)状況の管理やスケジュール作成を行っている実態はアンケート調査からも見てとれます。

「塾の宿題を中心に、家での学習計画は夫がエクセルで表を作って管理していました。『30分刻みで時間を見える化する』スタイルで、空き時間を効率的に使えるようにしていました。都度、子どもと話し合いながら修正も加えました(男子の保護者・神奈川県)」

「6年生になると塾の宿題が夜に終わらず、学校に行く前の朝30分を毎朝勉強時間にあてていました。朝、出勤前に勉強に付き合うのは父親の仕事。娘を起こして勉強させ、横に座ってアドバイスなどをするなど、夫は熱心にやっていたと思います(女子の保護者・神奈川県)」
 

難関校に合格させた家庭に共通する関わり方!?

学習管理を母親がやっていた家庭はもちろん多いようですが、その関わり方は比較的あっさりしたものだったという声も。中には、学習管理は塾と子ども任せだったという家庭も。

「4~5年生のうちは家庭学習のマル付けなどを毎度やっていましたが、勉強は教えたことがありません。保護者会への参加や塾とのやりとりはもちろん親の仕事ですが、学習面では、テキストの整理などにとどまっていました(男子の保護者・神奈川県)」

「自分から進んで勉強するタイプではなかったのですが、言われたら素直にやっていましたね。勉強しなくて親子げんかになるといったことはなかったと思います(女子の保護者・東京都)」

「受験勉強に関しては完全に塾まかせでノータッチでした。家庭での学習の管理は本人ができる範囲でやっていましたし、私は頼まれた過去問をコピーしたくらいです(男子の保護者・千葉県)」

「夫は忙しく、子どもの塾の勉強内容や家庭学習の内容について全く把握していない状態でしたが、勉強以外の部分で息子との会話は積極的にしていました。世の中のトップニュースは父の話を聞いて覚えたといっても過言ではありません。息子は、最近のニュースや政治・経済などの素朴な疑問などについては父親との会話を通して覚えていったようです。ニュースを見ながらキーワードを掘り下げたりもしていました(男子の保護者・東京都)」

難関校に入学した家庭ほど、「勉強を教えたことはほとんどない」という声が多く上がりました。机上の勉強だけでなく、家族の会話からの学びも子どもの助けになったようです。

 

受験関連の行事も家族の「おでかけ」に

「ちょうど反抗期と重なり、モチベーションを維持するために言い方をいろいろと工夫するものの、どうしてもイライラが積もって子どもに感情的になってしまうことも多くて……。休日は夫が間に入ってフォローしてくれました(男子の保護者・神奈川県)」

週末も通塾や勉強の時間となり、特に旅行へは行きづらくなる受験期。アンケートでは、塾代を捻出するために旅行や外食を我慢していた家庭も多かったことが分かります。だからこそ、学校見学や説明会、文化祭などで遠くの学校に出向く際は家族のイベントにしていたという家庭もありました。

「子どもたちの学習管理は夫婦で分担し、塾の保護者会や面談は夫が行っていました。きょうだいが多いので、受験生の子は夫が担当、その他の子どもの学校行事や学習管理は私がやっていました。学校見学や文化祭は下のきょうだいも連れて家族で行きました(男子の保護者・千葉県)」

「説明会や学校見学は夫婦で分担しつつ、学校見学の後にディズニーで遊んで帰ってきたりとか(女子の保護者・神奈川県)」

「夫は当たり前と思っていますが、小さい頃から子どもの行事は最前線。夫はめったに怒ったりしない穏やかな人ですが、9月から受験終了までずっと蕁麻疹が出て、ストレスだったのかもしれません(女子の保護者・神奈川県)」

「受験が終わったら、どんな結果であっても海外旅行を楽しもうと決めていて、1年以上前から予約をしていました(男子の保護者・神奈川県)」

>受験生の子どもとの関わり方にはさまざまな苦労が……

親もきょうだいも、家族全員の協力が必要とされる大変な数年間ですが、必ず終わる日がくる中学受験。中学生になると一気に自立し、子どもとの距離感が変化します。お話をお聞きした保護者の皆さんは、当時を振り返って、小学生の子どもに寄り添って伴走した日を懐かしく思い出しているようでした。

この記事の筆者:古田綾子 プロフィール
雑誌・Webメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験に基づいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。
 

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