準備品は日本より少なめ
教育熱が高く膨大な私教育費がかかることで知られる韓国ではあるが、入学式にかかる費用や入学準備の点において、実は韓国は比較的シンプルだ。
通学カバンはランドセルほど高額ではないし、給食袋、給食ナプキンや赤白帽も必要なければ、体操服にゼッケンをつける必要もない。おはじきや数え棒など1つずつ名前を書かないといけない大量の細かな作業もない。
あってせいぜいクレヨンと色鉛筆、絵の具に絵筆、のりとセロハンテープに名前シールを貼るくらいだ。学校側から支給される学用品も結構あるので、入学とともに準備しなければならないものは、日本と比べるとやや少なめと言えそうだ。
ラクに感じる部分も
親が裁縫セットを触るような作業も一切発生しない。ハンドメイド物がもてはやされるような風潮も全くなく、あの子もこの子も持ち物はたいがい既製品だ。
日本で長く暮らして帰国した韓国の友人のエピソードだが、子どもが幼稚園も年長になる頃、日本の知人から「子どもも来年小学生だし、もうそろそろミシンを買わなきゃね」と言われたらしい。
彼女はその時なぜ子どもが小学校に入学するのにミシンが必要になるのか分からなかったという。実際に日本で入学準備を始める時期になって、周囲の母親が盛んに手作りで給食袋を作り始め、初めてその意味を知ったと言う。
ハンドメイドを良しとする雰囲気は日本独特のものだろう。ハンドメイド派がマジョリティーではないのかもしれないけれど、入学に「手作り」という単語が全く付きまとわない韓国にいると、日本の入学準備は名前書きに始まって、手作り神話という見えないプレッシャーも加わり、ちょっと大変だな、なんて思ってしまうのだ。
ちょうどわが子が小学校に上がる頃、同じく1年生の子どもを持つ日本の友人らがFacebookで手作りしたグッズをアップしていたのをよく見かけた。裁縫がさほど好きではない筆者は、日本にいてもきっとあまり作らなかったんじゃないだろうか。でも周りは作る。そしてなんとなくダメ母劣等感を持つようになっていったかもしれない……。
何かと不器用な私は、特に「手作り」が入学と結びつかない韓国だから、なんとか無理せず新1年生の母親期間を乗り越えられたのかもしれない。
韓国のこのへんの緩さは悪くない。いや、緩いんじゃなくて1つの在り方なんじゃないか。それが普通でもいいんじゃないか。そんなことをあれこれ考えながら、窓の外を見ると、日本より一足先に1年生になった韓国の子どもたちの元気な姿が。もう下校の時間か。
咲き始めたばかりの桜が今日もきれいだ。
参考
※レートは2023年3月27日時点
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