コロナ禍の出口はまだ見えないが、2023年は対面形式による入学式を行う小学校も多いと聞く。子どもたちには良い思い出を作ってほしい。
さて、日本では桜と共に始まる新生活だが、韓国では一足早い3月が進学・進級の時期だ。したがって、桜が咲き誇る頃にはもうすっかり新しい環境に慣れているわけで、日本で入学式が行われる頃、韓国の新1年生はすでに学校生活を1カ月ほど経験済みなのである。
だから韓国の子どもたちにとって、日本の歌謡曲によくあるような「桜」と「新生活」を結び付けた歌詞の、あのくすぐったいときめき感は、分かるような分からないような。ピンとくるようなこないような。でも少なくともフレッシュな気持ちでお花見を楽しむ感覚は、確実に日本の子どもと共有できるのである。
韓国の小学生の通学カバンは?
日本の小学生を象徴するものといえば「ランドセル」だが、韓国では「チェクカバン」というリュックサックのようなものを背負って登校する。遠足に持っていくようなリュックサックよりも、底がしっかりしていて、全体的にもう少し丈夫なタイプのものを想像していただくとよいかと思う。
チェクカバンのチェクとは「本」を、カバンはそのまま「カバン」を意味する。つまり本を入れるカバンということ。ナイロンやポリエステル素材のものがほとんどなので、もちろんランドセルよりずっと軽い。色やデザイン、形、大きさに学校側からの指定はなく、基本的に自由に選べばよい。
毎年冬になると各種アパレルブランドはこぞってこのチェクカバンを発売し始めるので、百貨店やショッピングモールのキッズフロアは新1年生を持つ家族連れでにぎわう。
値段はサブバッグとセットになって5万ウォン(約5036円)~。高級ブランド志向が強い韓国では、有名ブランドのチェクカバンの人気が高い。といっても、その値段は日本のランドセルほどではない。いくら高級ブランドでも20万ウォン(約2万146円)を超えるものはそうそうないからだ。
これは蛇足だが、新学期が始まって間もない頃、韓国でランドセルを背負って登校する子どもを見かけたことが何度かある。あくまで。ごくまれに。何度かだが。いずれも現地の日本人家庭の子どもではなく、韓国の家庭の子どもが使用していたケースだったので少々驚いたのだが、韓国のインターネットサイトでも販売されているので、“ちょっと高級なチェクカバン”の感覚で購入したのだろうか。
ただ、毎度数カ月で使用しなくなったのを見ると、やはり重くて不便だったのだろう。あるいは韓国の小学校のロッカーがランドセルの大きさに対応していないので置き場に困ったのかもしれない。
ちなみに韓国は教科書を持ち帰らない。学校に置きっぱなしだ。自宅で教科書を見たいときはインターネット上でIDとPasswordを入力することで閲覧できるシステムがある。この点、至って合理的なのである。
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