簡潔すぎても伝わらない? LINEやメールの好感度をじんわりアップさせる「チョイ足し言葉」の魔法

簡潔さが求められる昨今ではあるが、それでは伝えられないこともある? LINEやメールの文面で好感度をじんわりアップできる「チョイ足し言葉」のすすめ。【山田Gのシン・日本語辞典 vol.20】

SNSで話題の新語からメールマナー、大人の常識では解読できない若者言葉まで。増殖し続ける「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
 

vol.20 好感度を“じんわり”アップさせる「チョイ足し言葉」

簡潔なだけでは伝わらないこともある?(※画像はイメージ)

考察

「おはよう」のあいさつ1つを取っても“その次”に「きのうは終電間に合った?」「風邪の調子はどう?」「雨、大丈夫だった?」……と、“ちょっとした一言”を付け加えるだけであなたの好感度はグンとアップしますよ――そんな教訓を促す類いの記事はネット上でもよく見かける。いわゆる「チョイ足し言葉」ってヤツである。
 

そして、この定則は「会話」だけじゃなく、メールやLINEといった「文章」によるコミュニケーションにおいても、当然のこと該当する……と思われる。
 

が、語気やイントネーションの強弱によってリアルタイムで“誠意”のようなものを(ある程度は)表現できる「会話」に比べ、「文章」の場合――文字の羅列だけでその“熱量”を「チョイ足し」するのは、やや困難だったりする。
 

しかも、昨今ではメールやLINEでの文章のやりとりは、
 

「ビジネスメールでダラダラと長文を書いてくるヤツは仕事ができない」

「余計な言い訳や社交辞令的な前フリは極力省く!」

「とにかく、できるだけ簡潔に!」
 

……みたいな風潮が主流となりつつある。でも、(ウザがられない範囲で)なんとなく相手の心に刺さる一言くらいは、やはり「チョイ足し」しておきたい……。ならば一体どうすれば???
 

「コレが正解!」とまでは断言できないが、筆者はとりあえず「うれしい」だとか「助かる」だとか「感謝している」だとか……の意を相手に伝える際、その言葉を修飾する「副詞」に“ある工夫”を凝らすよう心がけている。
 

例えば、
 

「◯◯様のおかげで、楽しいひとときを過ごすことができました。」
 

……といった文面をメールで送信するならば……筆者だったら「楽しいひととき」の前に「大変」、もう少々フランクな関係だと「とても」などの副詞を“チョイ足し”する。さらには「とても」の「と」と「ても」の間に「っ」を挿入することもある。
 

「◯◯様のおかげで、とっても楽しいひとときを過ごすことができました。」
 

ね? この方がなんとなくじんわりと「楽しかった」って思いが伝わってくる……気がしますでしょ???
 

「ビジネスメールでの促音は、相手に稚拙な印象を与えてしまうから、あまり使わない方がいい」
 

……とのセオリーもあるようだが(例:あっち<NG>、あちら<OK>)、(あくまでケースバイケースで)1カ所にだけ“渾身の促音”をぶち込むのも、それはそれでアリなのではないか、と筆者は考える。
 

あと、文字量こそ「仕事ができないヤツ」よろしく増えてしまうのだけれど、筆者は初対面の(もしくは久々に再会した)人に後日送るあいさつメールでは、必ず冒頭のサムネールに表記した、
 

「このたびを機会に、これからも末長いお付き合いのほど何卒よろしくお願い申し上げます」
 

……の一言を文末に、やはり“チョイ足し”するようにしている。
 

メールを受け取った側からすると、いささか赤面してしまいそうな“告白”なのかもしれないが(笑)、筆者としては“わりと本気”でそう願っていたりもするので、このような大げさな言い回しで、しれっと相手の想定を超えてみるのも……それはそれで、なかなかに悪くないのではなかろうか。
 

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