首都圏で本場の「飛騨中華そば」が味わえる“めったにない”機会! ラー博に「やよいそば」が3週間限定で出店

新横浜ラーメン博物館に「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」第12弾として飛騨高山「やよいそば」が2月21日から3月13日まで出店。「やよいそば」は、岐阜県高山市の「飛騨中華そば」を代表する老舗ラーメン店で、約27年ぶりの登場となります。

飛騨高山「やよいそば」の中華そば

新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)は2024年に迎える30周年に向けて、2022年7月1日から「あの銘店をもう一度」プロジェクトをスタート。過去に出店したことのある約40店舗の銘店が2年間かけリレー形式でラー博に出店します。

2023年2月21日から3月13日の「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」第12弾は、飛騨高山「やよいそば」が出店。「飛騨中華そば」を首都圏で味わえるチャンス!(画像はすべて提供)

 

飛騨中華そばの歴史について

屋台を引く「まさご」創業者・坂口時宗氏
屋台を引く「まさご」創業者・坂口時宗氏

飛騨中華そば(=高山ラーメンともいいます)の歴史の始まりは、今から80年以上前にさかのぼります。1938年に創業した「まさご」が発祥で、高級料亭の板前であった坂口時宗氏が、東京・芝浦での料理修行中、中国人が作る麺料理を見て中華麺の打ち方を学び、屋台を引いて商売したのが始まりといわれています。

実は、飛騨高山で「そば」と注文すると「中華そば」が出てくるほど、地元の方はラーメンを常食しています。いわゆる「蕎麦」を頼む場合は「日本蕎麦」または「生蕎麦(きそば)」と言わなければ伝わりません。高山は蕎麦の歴史も古いのですが、店舗数は中華そば店のほうが圧倒的に多い、ラーメン文化が根付いているエリアなのです。

そんな飛騨高山では年越しに日本蕎麦ではなくラーメンを食べる習慣があり、除夜の鐘が鳴り始めると、ラーメン店へと向かうそう。

 

タレとスープを一緒に煮込むのが特徴

京文化の影響を色濃く受ける高山の蕎麦やうどんは関西風ですが、中華そばは関東風の醤油味。「まさご」の坂口氏が東京で修行した影響も多いにありますが、高山が江戸幕府の天領となり、醤油文化が発達したという土壌も影響していると考えられます。

飛騨中華そばの特徴は、寸胴の中でスープとタレを合わせて煮込むこと。スープとタレを別々に作り、丼にタレを入れてスープを注ぐ一般的なラーメンのスープとは異なり、午前中と夕方では煮込み時間により味わいが変化するとされています。そのため地元の人は、好みのスープの味となる時間帯にお店を訪れるのだとか。

 

飛騨中華そばの老舗「やよいそば」について

昭和30年代のやよいそば外観(画像提供:やよいそば本店)
昭和30年代のやよいそば外観(画像提供:やよいそば本店)

やよいそばの創業は1948年。現存する飛騨中華そば店の中では2番目に古い老舗店となります。屋号「やよいそば」は、すぐそばにある「弥生橋」からきています。
 

1996年出店時の看板
1996年出店時の看板

新横浜ラーメン博物館に出店したのは、1996年10月5日~1997年3月15日。約5か月の出店期間中、当時全国的にあまり知られていなかった「飛騨中華そば」を求めるお客さんで連日にぎわいました。
 

「やよいそば」の中華そばの特徴について紹介します。

飛騨高山「やよいそば」の中華そば
飛騨高山「やよいそば」の中華そば

鶏ガラ、野菜等で十分にダシを取り、そこへ鰹節等の節類を加えてさらにダシを引き出したスープに、醤油などで味付けし、丸二日以上煮込みます。独特のコクと旨味を兼ね備えた色濃いスープが完成します。

麺は、全国的にみてもかなり珍しい平打ち細ちぢれ麺。低加水(=小麦粉に加える水分が少ない)のためスープとよくなじみ、のど越しと歯切れがよいのが特徴。飛騨高山は水がおいしいこともあり、今回の出店ではその水で作った自家製麺を本店から取り寄せます

具材はいたってシンプル。昔ながらの中華そばに欠かせないメンマ、油分の少ないスープに旨味を加えるバラチャーシュー、そして飛騨中華そばに無くてはならない「飛騨一本太ねぎ」が入っています。

「飛騨一本太ねぎ」は、岐阜県の伝統野菜にも認定されており、柔らかく粘りがあり、甘みが強いのが特徴です。寒い季節にしか味わうことができない食材のため、この時期の出店となりました。

 

アニメに登場して認知度がアップ

飛騨中華そばはアニメに登場し、認知度が高まっています。そのアニメは、2016年に公開され数々の記録を作った『君の名は。』、そして2012年からテレビ放送された『氷菓』です。

『君の名は。』では主人公の三葉が飛騨地方の山深い田舎町に住んでいるという設定で、劇中に飛騨中華そばが登場。『氷菓』では、原作者の出身地である岐阜県高山市が舞台となっていることから、やよいそばをモデルとした「あすかそば」が登場します。

首都圏では、飛騨中華そばを食べられる本格的なお店(本店が飛騨地方にあるお店)はありません。約27年ぶりにラー博に出店する「やよいそば」。時間帯によってスープの味が変わるのかどうかも楽しみです。

 

「あの銘店をもう一度」情報

期間:2022年7月1日~約2年間(銘店シリーズ各店舗約3週間)
場所:新横浜ラーメン博物館
期間中出店数:約40店舗(現店舗除く)
“94年組”第1弾:目黒「支那そば 勝丸」2022年11月7日~2月26日
第11弾:博多とんこつ「麺の坊 砦」1月31日~2月20日
第12弾:飛騨高山「やよいそば」2月21日~3月13日
“94年組”第2弾:環七「野方ホープ1994」3月2日~7月17日
第13弾:博多「元祖 名島亭」3月14日~4月3日
URL:https://www.raumen.co.jp/
 

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