橋本良亮×佐藤流司ד鬼才”鈴木勝秀がタッグ! アバンギャルドな音楽劇『逃げろ!』の魅力とは?

モーツァルトの盟友ダ・ポンテのウィーン時代を、橋本良亮さん(A.B.C-Z)、佐藤流司さん、演劇界の鬼才・鈴木勝秀さんという豪華な顔合わせで描く音楽劇『逃げろ!』。2月10日の開幕を前に行われた公開ゲネプロの模様をご紹介します!

コメント取材会では橋本さんら出演者の本音も!?

同日行われたコメント取材会で橋本さんは「僕自身、ダ・ポンテの“やばくなったら、逃げろ”という言葉に助けられました。稽古では苦しいことやつらいこともあったけれど、この言葉に救われたからこそ、ここまで逃げずにやってこれたと思います。セットはなにもないけれど、(僕ら)一人一人がセットというか、3D映画のように飛び出してくるような作品になっていると思います」と挨拶。

音楽劇『逃げろ!』コメント取材会より。「台本に出てくる難しい漢字の読み方は、村井さんに全部教えていただきました」という橋本さんのコメントに、村井さんが照れる一幕も。Photo: Marino Matsushima

一方、佐藤さんは「VHS(ビデオテープ)の3倍録画くらいのボリュームで、けっこうな台詞量を喋ります。普通の舞台以上に楽しめると思います」と手応えを語り、ベテランの篠井さんの「時代物ですがかなりアバンギャルドな舞台、見ものですよ」という言葉からも、自信のほどがうかがえました。

音楽劇『逃げろ!』コメント取材会より。Photo: Marino Matsushima

橋本さん&佐藤さんを起用した理由は?

このゲネプロ後、演出の鈴木さんにいくつか質問したところ、彼自身が本作を楽しんで創っていることがひしひしと伝わるコメントが。

——橋本さん・佐藤さん世代と村井さんや篠井さん世代ががっぷり四つの芝居をされていることで、本作には鈴木さんご自身も含めた“父親世代からのメッセージ”といった意図も込められているでしょうか?

「僕は自分自身が誰の父親でもないので、父親世代という認識はありません。また演劇に限らずスポーツも含めて、新人であろうとベテランであろうと、同じ舞台で戦います。ベテランの方々は経験や身につけた技術があるのと同時に、新人・若手には体力、エネルギーなどが豊富にあります。要は、それをバランス良く配置することが大事なのだと思います。そうすることによって、より多様性にあふれた作品にすることができます。今回はその点において、とても良いバランスになったと思います」
 

——今回は、俳優としての実力と華と、鈴木さんの(演出における)戦術を理解されているということで橋本さんと佐藤さんをキャスティングされたとのことですが、実際に演出されて、手応えはいかがでしょうか?
 

「十分な手応えです。公演が進むにつれ、まだ高まっていくと思います。サッカーに例えれば、公演期間はシーズン中なので、そこでさらに関係性が深まり、より高度なコミュニケーションが成立し、新たな発見とともに、舞台上での密度がさらに上がるでしょう。千穐楽まで毎回見ようと思っているので、個人的にとても楽しみにしています」 
 

——“逃げろ”は一般的にはネガティブに聞こえるワードですが、本作では、状況を見ながらいつでもそこから動ける、変化できる身軽さが必要だ、といった意味合いでしょうか? 
 

「『逃げろ!』というタイトルは、ダ・ポンテの人生を調べていて、一番強く感じたことなので、そのままタイトルにしました。世の中の常識とか定番とかありきたりを疑うことが、表現者の基本だと思うので、“逃げる”ことはネガティブなのかなあ? と僕は考えたということです。また演劇において、意味はやる側ではなく観る側にあると僕は考えるので、『逃げろ!』というタイトルと芝居から、いろいろなことを考えていただけるとうれしいです」 

音楽劇『逃げろ!』公開ゲネプロより。Photo: Marino Matsushima

最後に、「ROCKバカ芝居」という言葉の意味合いについては、「僕も音楽の大嶋吾郎くんも、人生全般を通じて、グラムロックやパンクロックが大好きで、それを演劇でやれることに喜びを感じています。グラムやパンクを演劇でやることが、僕にとっての音楽。楽しいからやるだけです」と答えた鈴木さん。“アバンギャルドな舞台”の源は何より、作り手たちの「楽しむ心」なのかもしれません。

<公演情報>
音楽劇『逃げろ!』2月10~12日=福岡・キャナルシティ劇場、2月17~19日=大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2月21日~3月1日=東京・新国立劇場中劇場 | 公式HP:音楽劇『逃げろ!』
 

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