SNSで話題の新語からメールマナー、大人の常識では解読できない若者言葉まで。増殖し続ける「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
vol.18 「ツッコミ上手」になるには「言葉のチョイス」より「リズム感」がキモ!?
「ツッコミ役」だけにスポットを当てるという、なかなかに斬新な切り口のお笑い特番で、ダウンタウンのツッコミ担当である“浜ちゃん”こと浜田雅功が、若手芸人のツッコミに対する感想や技術論などについて和やかに意見を交わしていたときのこと。金言中の金言だったのが、
「“ワンテンポ遅い”とか“ここ語尾聞かんでもいけ!”とか、そんなんは見たときにちょっと感じます」という、この日の総大将(?)だった浜ちゃんの持論。そのおおよその流れは以下のとおりであった。
(進行役の)博多大吉:若手とか後輩を見ていて「このツッコミ(芸人)面白いな」とか(ってありますか)?
浜田:いや、みんなうまいですって。
(続けて)ただぁ……「ワンテンポ遅い」とか「ここ語尾聞かんでもいけ!」とか、そんなんは見たときにちょっと感じます。やり方がどうこうじゃなしに、タイミング・間(ま)だけは見てしまう(後輩芸人ら、いっせいに感嘆の声)。
考察
お笑い芸人はもちろんのこと、一般人のコミュニケーションにも充分に生かせる珠玉のアドバイスではないか……と、ついついうなってしまった。同時に、一朝一夕では“修正”が不可能な、一種の“天賦の才”を要する、高い難易度のアドバイスだとも思った。
一言で「ツッコミ」と言っても、そのやり方はさまざまなバリエーションがあり、ちなみに最近のトレンドは
「◯◯やないかい!」
「◯◯じゃないんやから!」
「◯◯みたいになってる(やん)!」
……みたいな、いわゆる「例えツッコミ」なのだそう(※「◯◯」には人物の固有名詞や、「屋形船」「オレンジワイン」「発毛剤」のような具体名が入る)。目の前で起こったことや話題になっていることを何かに例える手法である。
しかし、浜ちゃんはあまりこの「例えツッコミ」には頼らない。極力シンプルなワードでズバッとツッコミを入れる。しかし、それが恐ろしく正確な間合いで勢いよく繰り出されるため、それが笑いへと導かれていく……。
浜ちゃんが指摘するところの「タイミング・間(ま)」というのは、とどのつまりが、個々が体内に有する「リズム感」のことだと筆者は考える。ただ、このリズム感を支える人間のバイブスみたいなものは、訓練次第ではかなりの部分まで鍛え上げることはできるものの、日常のコミュニケーションでも相当に意識し続けていなければ、そう簡単に変えることはできない。逆に言えば、上手にできるヒトは何の努力も無しにあっさりとできちゃったりする。
筆者の草野球チームのチームメイトに、ツッコミ役で有名な某お笑い芸人さんがいる。そして、例えば筆者が野球チームの納会とかであいさつなどのトークをする際、「ツッコミのプロ」である彼が適度なタイミングでツッコミを入れてくれると、不思議とすごく気持ちよく、よどみなくしゃべることができるのだ。
「オレの説教は医薬品扱いされるくらい、誰にでもめっちゃ効くねん」
「オマエはリ◯ップか!」
……と、どんなに優れたツッコミの文言が頭に浮かんだとしても、ホンのコンマ数秒だけでも間を外してしまったら、それは絵に描いた餅。宝の持ち腐れでしかない。
「なんでやねん!」でも「なにそれ!?」でも「ええかげんにせいや!」……どれでもいい。ツッコミの基本の基とされる“一言”をまずはプライベートな会話で、
「ドンツータッタドンツータッタ〜」から「タカトン!」
……と、ドラムのオカズ(=フィル・イン)のごとくタイトに入れる練習をするだけで、あなたの会話術も、よりいっそうの洗練を増していくのではなかろうか。
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