韓国の正月本番は「ソルラル」と呼ばれるいわゆる旧正月なので、毎年その時期は異なる。2023年は1月22日がソルラル当日となり、その前後が休日とされ連休となる。1月1日は祝日として1日のみ休み。12月31日はもちろん、1月2日は普通に出勤、登校というケースが一般的である。
(※)2023年は1月22日が日曜になるため、代休として24日(火)が振替休日となり、4連休となる。
ちょっぴり特別な祝日
ならば、年末ならではの祝祭ムードは一切ないのか、というとそうではなく、年末が近づけば忘年会を開催する職場やサークルなどは多くあるし、12月31日には若者が集まるクラブやバーではカウントダウンパーティーが行われる。また、日本で『NHK紅白歌合戦』が放送されている頃、韓国のテレビでは『MBC歌謡大祭典』が生放送されている。 SNS上では「よいお年を!」なんてあいさつが飛び交っているし、繁華街の路上ではほろ酔い気味に別れを惜しみながら「また来年」と肩を叩きあうサラリーマンの姿も見られるだろう。
ソウルの普信閣(ぼしんがく)という楼閣で行われる除夜の鐘つきはあまりにも有名で、毎年多くの人が集まる年末の風物詩だ。韓国各地の有名な日の出スポットはどこも大にぎわい。新年に見る日の出は縁起が良いと言われているからだ。
このように何らかの年末ムードは探せばどこかで感じられるものの、地域社会の隅々にまで充満するそわそわ感を伴う日本のそれとはどこか違う。
そうして迎えた1月1日は、各家庭で行うべき特定の儀礼や風習といったものはなく、いたって普通に過ごす。必ず食べるという料理もない。いわゆる新年の決まり事は全てソルラルに行われるわけで、子どもたちがお年玉をもらえるのもやはりソルラルだ。つまり、韓国における年末年始は、カレンダー上の1年が終わり、新たな1年が始まるという、ちょっぴり特別な気持ちを抱いて過ごす1つの節目的なひと時ではあるものの、日本のように全てが1度締めくくられ、厳かに始まるような“1年で最も特別な時期”ではないのである。
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