1年を走り抜いたご褒美として、12月の「冬ボーナス」を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
円安やエネルギー価格の高騰など、なにかと不安定な状況が続く昨今ですが、ふと今から10年前、2012年の冬季賞与支給額はどのくらいだったのかが気になったので調べてみました。
2012年は何があった年? 出来事から振り返る
10年前といえば、リーマンショックや東日本大震災の影響がまだ残っていた頃です。振り返ってみると、コロナ禍の影響を引きずったままの2022年現在と似た境遇にあったのが2012年だったのかもしれません。
細かな出来事を見ていくと、東京スカイツリーが開業したのはこの年です。地上デジタル放送への移行もピークを過ぎ、特需の反動で収益が悪化した家電量販業界では再編が加速しました。ビックカメラやヤマダデンキ(旧・ヤマダ電機)といった大手量販店が、次々と競合を買収するといった動きが起きています。
夏に開催されたロンドン五輪で日本選手団が当時の過去最多となる38個のメダルを獲得し、さまざまな感動やドラマを生んだ大会となりました。レスリング女子の吉田沙保里選手や、体操の内村航平選手、ボクシングの村田諒太選手、陸上の室伏広治選手など、今も多方面で活躍する名選手を多く輩出しています。
国外の動きを見ると、アメリカ大統領にバラク・オバマ氏が再選、中国では習近平氏が総書記に就任しています。北朝鮮では、2011年12月に死去した金正日総書記から権力継承手続きを終え、金正恩氏が第一書記に就任しています。
2012年冬ボーナス、全体平均は35〜40万円、上場企業は60〜70万円
ここからは、2012年冬ボーナスについて、当時のデータを参考に振り返っていきましょう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが公開している「2012年冬のボーナス見通し」を見ると、民間企業1人当たりの平均支給額は36万6500円で前年比1.6ポイント減でした。国家公務員は56万2800円で同8.8ポイント減です。
同調査は事業所規模5人以上の企業(民間)と、管理職および非常勤を除く一般行政職(公務員)から、賞与を支給した事業所の労働者を対象としたものです。
労務行政研究所が東証第1部上場企業212社を対象に実施した「東証第1部上場企業の2012年 年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」を見ると、全産業の支給額平均は69万4581円で、対前年同期比は1.1ポイント減でした。2009年以来、3年ぶりにマイナスに転じたと記録されています。
2012年冬のボーナス見通し(民間企業)と東証第1部上場企業の支給額に開きがあるため、厚生労働省が公開している「平成24年 年末賞与の支給状況」を参考に、もう少し見ていきましょう。
事業所規模5人以上の企業を対象とした同調査資料を見ると、企業全体の平均支給額は36万5687円で前年比1.5ポイント減となっています。事業規模30人以上に絞って見ると、全体平均は42万1273円で、前年比1.1ポイント減でした。
企業全体の平均支給額は「2012年冬のボーナス見通し」に近く、事業規模30人以上と比較してもそこまで差がないようです。以上のことから2012年冬のボーナスは、全体平均で35〜40万円前後、上場企業は60〜70万円ほどだったと推察されます。
業種別トップは「医薬品」の94万、支給割合平均は1ヶ月を下回る
ここからは、「東証第1部上場企業の2012年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」を参考に、当時の業種別支給額を見ていきましょう。
全20業種中トップは、「医薬品」の94万6779円(対前年同期比1.1ポイント減)、次いで「自動車」の84万6538円(同2.0ポイント増)、「化学」の79万9801円(同3.7ポイント減)でした。
伸び率で比較すると、「機械」の6.4ポイント増、「商業」の4.9ポイント増以外は目立った業界がなく、マイナスが多い年となっています。「鉄鋼」が7.9ポイント減、「電力」が8.7ポイント減をはじめ、20業種中11業種がマイナスとなっています。
厚生労働省の「平成24年 年末賞与の支給状況」から「きまって支給する給与に対する支給割合(事業所規模5人以上)」を見ると、「電気・ガス業」が1.72カ月分、「金融業・保険業」が1.55カ月分、「教育・学習支援業」が1.50カ月分となっています。それ以外は0.5〜1.1カ月分前後が多く、全体平均も0.99カ月分と1カ月を下回っていたようです。
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