フォロワー数は二の次!? 企業が求めるのは「K-POPファンの拡散力」
ゆりこ:KCONの会場に着いて、まず目に入ったのが長蛇の列! これは毎回恒例で、韓国コスメのサンプルや時には現品がもらえたりと、豪華なお土産がもらえるブースが多いんです。
矢野:うわ! なんかにぎやかですね。いろいろな韓国グッズがもらえちゃうなんて太っ腹!
ゆりこ:今回はほとんどInstagramかTwitterのフォローが必須でした。スタッフがQRコードを手に一生懸命「フォローをお願いします」と勧誘している姿が印象的で、ブース側としても商品を売ることよりも、むしろフォロワーを集めることの方が「主目的」だったのかな? と思えるほど。でもそれって正直、他のイベントでもありますよね。
矢野:少し前だとアンケートに答えて何かをもらうっていうのが主流でしたが、今はSNSのフォローが条件というのが多いですね。僕もファッション関連のイベントに行ったとき、Instagramのフォローでルームフレグランスをもらいましたよ。
ゆりこ:そうそう。でも案外「フォロー獲得」で止まっているケースも多くないでしょうか。今回のKCONはそこから一歩進んで投稿してもらう、つまり「拡散」への誘導に力を入れているなって思ったんです。
矢野:前回のゆるっとトーク会でも、「最近はフォロワー数も単なる参考値でしかなくなっているのでは?」という話題が出ましたが、表面上の数を増やしたところで売り上げに直結しないと企業側も気付いたのかもしれないです。それに若い人ほどSNSのフォローの心理的ハードルが下がるし、それはフォロー解除も同様ですから。
ゆりこ:やろうと思えば後でそっと外せちゃいますもんね(苦笑)。だからやっぱりお客さんに情報を発信してもらってこそナンボ。しかもK-POPファンの「拡散力」ってどこの界隈(かいわい)にも劣らないパワーがある。彼ら、彼女たちの気持ちと指を動かす重要性、それを企業側も分かっているなと感じました。
矢野:特にオッと思った例はありますか? 具体的に。
ゆりこ:1番スゴイと思ったのはCJ FOODSのブース(即答)。パク・ソジュンがCMキャラクターの「王マンドゥ」のPRをしていたのですが、かなり戦略的でしたね。まずは、SNSをフォローしてくれた人へタダで焼きたての王マンドゥ(韓国の餃子)をくれるんです。それもちゃんと大きめのカップにギッシリ入っていて、全然ショボくないヤツを。
矢野:パク・ソジュンの広告、見たことがあります。餃子なんて焼いている匂いだけでもそそられるじゃないですか。お金を取っても売れそうなのに、あえてタダで配っていたと。試食してもらって気に入ればスーパーで、という購買目的とフォロワー獲得の両方を狙っていたんでしょうかね。
ゆりこ:それもあると思います。さらにここからがポイントで、王マンドゥを食べている様子をハッシュタグをつけてSNSに投稿すると、すぐ隣のブースでCJ FOODSの商品がもらえる、とくるわけです。チヂミの粉やビビンバの素など市販されている現物と思われるものを。なかなか豪華でしょ? さらに餃子も持ちやすいカップに入っていて写真に撮りやすいということもあって、お客さんは積極的に餃子とセルカ(自撮り)を撮ってUPしていましたね。
矢野:Instagramのストーリーズなど、長く残らないものであればUPしやすいですしね。KCONにいる人たちのフォロワー、友人たちの中には韓国グルメやコスメに興味がある人も多いでしょうし、知ってほしい人に届く可能性大だ。
ゆりこ:いやー、3日間のうちに無料で振る舞った王マンドゥの量、配った商品の量を考えると、そこそこの金額になると思うんですよ。CJ FOODSはKCON主催の関連企業でもありますし、大企業だからこそ可能なことだとも思いますが。やっぱりK-POPファンの拡散力を頼りにしているのだなと感じましたね。それと同時に、写真の撮り方に世代差も感じまして。ちょっと矢野さんにもお伺いしたいのですが……。