タレントのryuchell(りゅうちぇるから改名)が、妻でモデルのpeco(ぺこから改名)と、「新しい形の家族」として暮らしていくと、8月25日に自身のインスタグラムで発表した。
結婚して6年、一児もいるが、ryuchellは、「父親であることは心底誇りに思えるのに、夫であることにはつらさを感じてしまうようになった」とつづっている。また、そのことを妻のpekoに告白、彼女は「今までつらかったね」と抱きしめてくれたという。そして、今まで通り、子どもと3人、家族として暮らしていくとしている。「夫と妻ではなく、パートナーとして」生きていくために離婚届を提出したことも認めた。
肝心の内容について本人ははっきりと書いてはいないが、おそらくジェンダー関係のことだろう。彼自身、隠しておかなければならない自分と、本当の自分との間に乖離(かいり)が生じたことを認めている。
「正直、墓場まで……」複雑な心境もつづったpeco
pekoは「正直、墓場までもっていってほしかった」としつつも、「勇気を振り絞って私に打ち明けてくれたこと」に感謝しているそうだ。お互いに人間として、愛情と信頼が強いことをうかがわせる。
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いろいろな家族の形がある。本人たちが話し合って決めたことを誰かがとやかく言う筋合いはない。
私も……結婚後にカミングアウトされて
「ryuchellさんの発表に、私の若い頃を思い出して、ちょっと苦いものがこみ上げてきました」
そう言うのはユキミさん(42歳)だ。彼女は26歳のとき、同い年の男性と出会って半年でスピード婚。すでに妊娠しており、半年後に長女を産んだ。
「彼はとにかく優しい人でした。私は3人姉妹の末っ子で、父は私が生まれる直前に急死したので父を知らない。母方の祖母と伯母と母、私たち姉妹、女ばかりの6人家族で育ちました。小学校から女子校で、大学に入って始めて教室に男性と一緒に座る経験をしたんですが、最初のうちは気持ちが悪くなったりして大変でした。男性が恐かった」
ようやく慣れてきたのは大学2年生も後半になってから。ただ、やはり体が大きかったりマッチョだったりする男性は苦手だったという。
「夫は身長も163センチの私とそれほど変わらない。威圧感がないから、一緒にいてとても気持ちがラクでした。よく洋服も貸し借りしていましたね。センスがよくてやさしくて、子どもが生まれてからは私よりめんどうをみていました」
もう1人子どもがほしいと思い始めたのは、ユキミさんが30歳のとき。夫とは性的な関係もすっかり間遠になっていたので、子どもがほしいなあと何げなく言ってみた。
「すると夫がベッドの上に正座したんです。『ごめん、無理なんだ』と。夫はもともと同性が好きなんだそうです。女性ともセックスができないわけではないけど、恋愛感情は抱けない、と。『ユキちゃんとはこういう関係になったけど、それはユキちゃんが一般的に言ってユニセックスなところが多いから』って。ああ、やっぱりそうなのねと思いました。私自身、同性愛者かもしれないと思ったこともあったし、基本的に女性が好きで、夫にはドキドキするような恋愛感情はなかった。だからこそ家族になれたんだと思うし……」
分かったとユキミさんは言って、「でも、できる限りあなたと一緒に生きていきたいと思う」と告げた。夫は「ボクもそう思う」と言ってくれたそうだ。
2人の信頼関係は壊れない
結婚して16年、カミングアウトされて12年。だが2人の関係は今も緊密だ。「お互いに恋愛は外でしようと決めているんです。子どもが18歳になるまでは離婚はしないと。私は30代半ばで、ある男性と恋に落ちました。私の場合はバイなんでしょうね。男性に対しては初めてのドキドキでした。でも家庭を壊すことはできなかった」
夫の方は、一時期、片思いをしていたが、相手が同性愛者ではなかったため告白すらできなかったようだ。
「片思いが苦しそうで、よく話を聞かされました。私は話してくれるのがうれしかった。立場としては夫だけど、私にとっては性別を超えた『愛する人』なので無関心ではいられない。特に嫉妬はなかったので、私自身、夫への恋愛感情はあまりないんだと思います。でもやはりいちばん大事なパートナーは“夫”なんだとよくわかりました」
お互いの親に、このことは知らせていない。わざわざ知らせる必要もないとユキミさんは言う。
「子どもが大きくなったときに真実を知らせたほうがいいのかどうか、そこは家族の関係をよく見つめながら結論を出そうと夫と決めています」
「結婚」という枠には入っているが、一般的なイメージとは違う結婚生活になっていることについても、ユキミさんは特に後ろめたくもないと言う。
「3人が仲良くできるかどうかがいちばん大事だから。2人とも、外で恋をしても、おそらくこの家族に戻ってくるよねと話しています」
もう1人子どもを授かりたかったけど、それができなかったのがちょっと残念ではあるけれど、とユキミさんはにっこりと笑った。
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亀山 早苗プロフィール
フリーライター。明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
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