vol.4「今までで一番の自分事にはなりますが~」滝沢カレン
滝沢カレンが、先日、自身のInstagramで結婚発表をした際に使用された前フリの言葉。
用例
「皆様に今までで一番の自分事にはなりますが、ご報告です。私は、現在建築のお仕事をさせていただいている方と、この度結婚いたしました」(※滝沢カレンのInstagramより)
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類語
なし。(※唯一無二)
考察
モデル兼タレントの滝沢カレン(30)が2022年7月4日、冒頭に記した文言と、夫(※うつむき気味で顔は判別できず)とのツーショット(+愛犬3匹)写真を自身のInstagramにアップし、結婚したことを公表した。筆者は、彼女の容姿とその独特な人生観やワードセンスがわりと好きだったので、近年続いた女性芸能人の結婚報告の中では比較的「くやち~~いっ!」「ダンナさんうらやまち~~~っ!」と軽いじだんだを踏んでしまったクチなんだけど、まあ年齢差的にも住んでいる世界的にも筆者が滝沢カレンと結婚できる確率は果てしなく0パーセントに近いので、そこらへんの複雑(?)な心中を語るのはここらへんでやめておこう。
で! 今回、この一連の投稿で私がもっとも注目したいのは、
「今までで一番の自分事にはなりますが~」
……とのくだり──先述した通りの「滝沢カレン独特のワードセンス」について、である。
文法的にこそ(かろうじて?)間違っちゃあいないが、一見日本語としては妙な違和感を覚えてしまう、耳慣れないおかしな言い回しだったりする。
ただ、よくよくと考えてみてほしい。
本来、インスタやFacebookやTwitterなどのSNSとは、「自分(の)事」すなわちプライベートを発信するためのツールではなかったのか? 従って、結婚(や離婚)や妊娠や出産ほかもろもろの報告を行うにあたって、いちいち「私事ではありますが~」なんてお断りを入れる必要もないはず……なんだが、「今までで一番の~」と「私事」を修飾することによって、この「私事」という単語をSNSの文中に挿入する意味合いが生じてくる──つまり、真の正解は「妙な違和感をおぼえる」我々側ではなく、滝沢カレン側なのだ。
「私は、現在建築の~」の「私」とダブらないよう、「私事」を「自分事」に置き換えているさりげない配慮(※←意図的なのかどうかは少々怪しかったりするが笑)も素晴らしい。滝沢カレンは、ウクライナ人の父と日本人の母を持つ。このような環境で育ってきたが故、もしかすると日本語へのアプローチは、やや他の(日本人)家庭と異なっているのかもしれない。
しかし、そういうハンディ(※「アドバンテージ」とも言える)がバックボーンにあるからこそ、逆に通常の日本人以上に日本語に対する意識が高く、大半の日本人たちがつい見逃してしまいがちである“わずかな矛盾”にも、よりいっそう敏感になれるのではないだろうか。
「現在建築のお仕事をさせていただいている方」(※正しくは「建築の仕事に就いている男性」)という、vol.3で指摘した「させていただく」の誤用あたりは、まあご愛嬌(あいきょう)として……(笑)?
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