アーティストの松枝悠希さん(@matsueda_yuki)がTwitterに投稿した作品が、多くの反響を呼んでいます。
皆さんが日常生活でよく目にする非常口の標識。この標識に描かれているヒトのマークが、もし飛び出したらどうなるか? 松枝さんは、そんな妄想を具現化した「平面から飛び出している立体作品」を制作。「こーゆーセンス、めっちゃ好き」「面白いアイデア」など、続々とコメントが寄せられています。
今回、All About編集部では松枝さんがこのような作品を作るようになった背景を探るべく、ご本人に詳しいお話を伺いました。
「平面と立体、どちらも面白い要素がある」 制作のルーツは実家が営む印刷会社
――非常口の「中の人」浮いているように見えますが、一体どんな状態になっているのでしょうか?松枝さん:透明な樹脂の板に食い込んでいる状態です。分かりやすく言うと、にゅーっと透明な板が中の人によって伸びている状態です。
――とてもユニークな作品だと思うのですが、このアイデアを思い付かれたきっかけをお聞かせください。
松枝さん:平面と立体、どちらも面白い要素があるので、両方を融合させたものを作りたいと考えていました。ある日、他の作品に使用するカップのような形の透明パーツを制作しているときに、型が台座から外れて透明部分にくっついてしまうという失敗をしました。ところがその状態が飛び出して、脱出しているように見えてとてもぐっと来たので、作品にしようと思い至りました。
また、作り続けているうちに、なぜ平面と立体の両方を融合させたのかという答えも出ました。私の実家は、平面を扱う印刷会社を営んでおり、そこの息子として育ちました。しかし小さな頃から立体が好きで、大学でも立体ばかり作っていました。ところが、どうもしっくりこない。本当に自分にあったものはなんだろう? と考えたときに、生まれ育った環境から見つめ直しました。平面を生み出す会社で育ち、平面を生み出す大きな立体物(印刷機械)に興味を持った。経験や技術が備わったときに、偶然も重なり2つがうまく融合できた、というわけです。
そして、作品のアイディアを考えながらふと見上げると非常口が光っていました。私は2次元の中に閉じ込められている方が非常事態だと思い、3次元の世界へ脱出させるようにしました。この作品が生まれてから数年経ちますが、今では「危険だったらいつでも逃げていいんだよ」というメッセージも込められいています。
――立体的な作品が生まれた背景には、偶然のハプニングと生まれた育った環境が関係していたのですね! この作品以外にも「平面から飛び出す立体作品」を作られているそうですが、イチオシ作品があれば教えてください。
松枝さん:卵シリーズや、トランプシリーズなどがオススメです。今回の展示からペインティング作品も制作し始めました。
――個展や今後の活動について読者に伝えたいことはありますか?
松枝さん:ネットやSNSでご覧になられた方、ご興味を持ってくださった方、本当にありがとうございます。1年に1回ほど国内で個展などを開催していますので、ぜひ実物を見にきてください。よろしくお願いします。
現在行われている個展は、東京都南青山にある「新生堂」で6月17日まで開催しているようです。松枝さんの作品を実際に目にすると、また違った作品のすごさや驚きを感じられるかもしれませんね。
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