「先生にも休みがいる」 公立中学の休日の部活動、“民間業者”導入に7割超が「賛成」

スポーツ庁が示した「教師の長時間勤務の一因」などの課題により、今まで通り持続することが難しくなった公立中学校の部活動。休日の部活動の指導を民間業者に委ねる動きも出ている中、全国20〜70代以上の男女1200人に“民間業者”導入について聞きました。


日本トレンドリサーチは「中学校の部活動に関するアンケート」調査結果を公表。同調査は、事前調査で「中学校のときに部活動をしていた」と回答した全国の男女1200人(20代以下/30代/40代/50代/60代/70代以上 各200人)を対象に、インターネット上でされたものです(調査期間:2022年4月30日〜5月17日)。
 

公立中学の部活動指導への「民間業者」導入に“賛成”が7割以上

スポーツ庁が示した、「少子化による廃部」や「教師の長時間勤務の一因」といった課題により、公立中学校の運動部では、今まで通りの部活動を持続させることが難しくなっている学校もあるようです。

栃木県が発表した、栃木県スポーツ協会や各競技団体が選んだ指導者によるICT(情報通信技術)を活用した遠隔指導の導入など、公立中学校の運動部活動改革の1つとして、休日の指導を民間スポーツ団体などに委ねる「地域移行」も検討されています。
 
休日の部活動の指導を「民間業者」に委ねることについて、どう思いますか?

このように休日の部活動の指導を「民間業者」に委ねることについて、最も多かった回答は「どちらかというと賛成」の41.6%。「賛成」と合わせて7割を超えました。
 

賛成派「先生の負担が減る」「よりスキルアップにつながる」の声

「賛成」と回答した人からは、「先生の負担が減るから(30代男性)」「先生にも休みがいるから(60代女性)」「ボランティアでやるには度を超えていると思うから(50代男性)」など、部活動の顧問にあたる教師の負担を心配するコメントが寄せられました。

また、「実績のある指導者に教えていただくことが能力の向上にもなるので(40代男性)」「学校の先生では担当している競技について精通していない場合が有り、良い指導が出来ないと思うので外部から精通した人を取り入れることに賛成(60代女性)」「部活の専門的なものは部費で外部のコーチに教わっていたので、民間企業でもいいように思います(20代女性)」など、より専門的な知識を持つ指導者を入れることでスキルアップにつながるとの声もありました。
 

第三者の介入=「いじめの早期発見及び根絶」になり得る?

「どちらかというと賛成」と回答した人からは、「教員の負担が減るという点では賛成だが、学外からの指導者を招くと、そこで新たな人間関係ができ、生徒とのトラブルが起こる可能性が上昇するため(20代男性)」「先生の負担を少しでも減らせるのと、そもそもその活動は専門家がいたほう良い。ただし、指導が行き過ぎないように、その方にも教育が必要(40代男性)」など、学校外の人を入れることへの不安の声も。

逆に、「子ども達への指導・監督を民間業者に任せるということに少し不安はあるが、学校という外から隔てられた世界に民間業者という第三者的な人たちの目が入ることは体罰・いじめの早期発見及び根絶につながるので、そういう点では良いと思ったからです(20代女性)」など、外部の人の目により、たびたび問題になっている、部活動という閉鎖的な場での体罰やいじめの気付きにつながるとのコメントもありました。
 

消極派からは「責任の所在があいまい」な点を不安視する声も

一方、休日の部活動の指導を「民間業者」に委ねることに「反対」「どちらかというと反対」と回答した人からは、「責任を誰が取るのかという問題。学校内の活動なのに、学校外の責任者の場合、問題が起こった際にどう対処するのかが疑問。教育機関の対応法があるだろうし、その際に逐一顧問(学校関係者)に確認を取るのであれば、学校関係者で良いのではと思ってしまう。もちろん指導自体は外部の専門家でも良いと思う(30代女性)」「休日は他校との対外試合が多く、怪我などのトラブル時に学校関係者との密な連絡ができるのかが不安(50代男性)」など、何かトラブルが生じたときの責任の所在について不安に感じるとの声が寄せられました。

10~20代の回答者からは、「確かに学校の先生の負担が軽くはなるが、生徒と先生の絆みたいなものが大人になってもいい思い出にもなっているし、そもそもが部活動ではなくクラブ活動になってしまうのでは(20代男性)」「学校の教師に教わったほうが思い出として振り返った時にいい気がする。もちろん民間業者に頼るのも悪くはないと思いますが(10代男性)」など、学校の先生だからこそ、部活動が良い思い出に残っているというコメントもありました。

「指導員に支払うお金はどこからだれが払うのか? 指導員の選別は誰がどのようにするのか? 決めなければいけないことがまだまだ多い(50代男性)」など、休日の部活動の指導を民間業者に委ねる動きが進む中、さまざまな課題も残されているようです。


※回答者のコメントは原文ママです


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