10年前の「夏ボーナス」平均はいくらだった? 民間や上場企業の平均、業種別の傾向をふり返ってみた【2012年】

三菱UFJリサーチ&コンサルティングや労務行政研究所、厚生労働省が発表したデータを参考に2012年夏季ボーナスの支給額平均を振り返ります。10年前はロンドン五輪や2011年にあった東日本大震災の影響で42年ぶりに「原発の一時稼働ゼロ」となったころです。

10年前の2012年は平均していくらの夏ボーナスをもらっていたの?(画像はイメージ)


6月の夏季ボーナス支給シーズン。2022年の金額もそうですが、現在とは経済状況などが異なる数年前は、平均していくらだったのか気になりませんか? 今回は今から10年前、2012年の夏季賞与について、全体支給額平均と上場企業の平均、業種別の傾向を調べてまとめました。
 

2012年といえば、リーマンショックから約4年経ったころ。そして東日本大震災から約1年が経った時期です。コロナショックからまだ脱していない2022年現在と近い境遇にあった10年前は、どのくらい支給額を受け取っていたのでしょうか。
 

2012年の日本国内と世界の出来事

2012年の夏季ボーナス支給額を見る前に、2012年にあった出来事を振り返ってみましょう。
 

一般生活にも影響がある「原発の一時稼働ゼロ」となったのが2012年です。同年5月5日、北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)の検査入りで全50基が運転を停止し、1970年以来42年ぶりに原発の発電量がゼロとなりました。消費税増税法が成立したのもこの年。2014年4月に税率を5%から8%に引き上げ、15年10月には10%にすることがのちの予定に組み込まれました。
 

パナソニックやソニー、シャープといった国内の家電大手が軒並み過去最大の赤字を計上したニュースも印象的だったのではないでしょうか。地デジ移行特需の反動で収益が悪化した家電量販業界では再編が加速。ビックカメラがコジマをヤマダ電機がベスト電器を買収するといったことが起きています。

8月12日に閉幕したロンドン五輪では、日本勢が史上最多38個のメダルを獲得し、多くの感動シーンを生んだ大会となりました。サッカー女子やアーチェリー、バレーボールなど幅広い競技で日本選手が活躍し、レスリング女子では吉田沙保里選手、伊調馨選手がともに五輪3連覇の偉業を達成しています。
 

世界の動きでは、習近平氏が総書記に就任し中国のトップに。アメリカでバラク・オバマ氏が大統領に再選したのもこの年です。北朝鮮では、金正恩氏が2011年12月に死去した父、金正日総書記からの権力継承手続きを終え、第1書紀に就任しています。
 

2012年夏季ボーナス、上場企業の平均は65万円、全体平均は36万円程度

2012年夏季ボーナスについて、当時のデータを参考に見ていきましょう。
 

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが公開している「2012年夏のボーナス見通し」を見ると、民間企業1人あたりの平均支給額は36万1000円で前年比0.9ポイント減でした。同調査は事業所規模5人以上の企業で、賞与を支給した事業所の労働者を対象としたものです。
 

2012年夏のボーナス見通し
2012年夏のボーナス見通し

民間調査機関「労務行政研究所」が東証一部上場企業143社を対象に実施した「東証第1部上場企業の2012年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」によると、全産業の支給額平均は66万7724円で、前年同期比は0.5ポイント減でした。
 
東証第1部上場企業143社の妥結水準
東証第1部上場企業143社の妥結水準


民間企業全体と上場企業の支給額に開きがあるため、厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査 平成24年9月分結果速報等及び平成24年夏季賞与の結果」を参考に、もう少し詳しく見ていきましょう。
 

同資料の「平成24年夏季賞与の支給状況」を見ると、事業所規模5人以上の企業全体の平均支給額は35万8368円で前年比1.4ポイント減となっています。30人以上に絞ってみると、全体平均は40万7588円で、前年比1.8ポイント減でした。
 

平成24年夏季賞与の支給状況
平成24年夏季賞与の支給状況


以上のことから、2012年夏のボーナス全体の平均は36万円前後、上場企業に絞ってみた場合は、平均65万円程度だったと推察されます。
 

業種別トップは「電気・ガス」の75万4604円

引き続き、厚生労働省が公開した「平成24年夏季賞与の支給状況」を参考に、業種別で詳しく見ていきましょう。
 

業種別トップは「電気・ガス業」の75万4604円(前年同期比4.2ポイント増)、次いで「金融業・保険業」の60万1045円(同4.8ポイント増)、3番目は「情報通信業」の60万225円(同2.1ポイント減)でした。
 

伸び率で見ると、「生活関連サービス業」が16.1ポイント増と、突出しています。「鉱業・採石業等」も13.4ポイント増です。一方で、「建設業」は12.5ポイント減と大きく減少していました。
 

東証第1部上場企業143社に絞って見ると、トップは「輸送用機器 自動車」の83万8176円(前年同期比2.3ポイント減)、次いで「化学」の81万3901円(同2.1ポイント減)、「電力」の78万2614円(同8.4ポイント減)と続きます。
 

伸び率が大きかった業種は、「機械」の9.4ポイントのみで、それ以外は1〜3ポイント程度に留まっていました。2012年は、マイナスだった業種の方が多く「輸送用機器 造船」の17.0ポイント減や「鋼鉄」の15.8ポイント減を筆頭に、17業種中9つも前年同期比マイナスだったようです。
 

最後に、「決まって支給する給与に対する支給割合(何カ月分か)」を、厚生労働省の「平成24年夏季賞与の支給状況」で見ると、全体平均は0.97カ月分(前年同期比0.02カ月増)、業種別トップ3は、「電気・ガス業」の1.65カ月分(同0.12カ月増)、「金融業・保険業」の1.58カ月分(同0.04カ月増)、「教育・学習支援業」の1.39カ月分(同0.05カ月増)でした。



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【関連リンク】
毎月勤労統計調査 平成24年9月分結果速報等(厚生労働省)
2012年 夏のボーナス見通し(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
東証第1部上場企業の2012年夏季賞与・一時金(ボーナス)妥結水準調査(労務行政研究所)

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