5年前の「夏ボーナス」平均はいくらだった? 民間や上場企業の平均、業種別の傾向をふり返ってみた【2017年】

三菱UFJリサーチ&コンサルティングや労務行政研究所、厚生労働省が発表したデータを参考に2017年夏季ボーナスの支給額平均を全体と業種別で振り返ります。

6月といえば、夏季賞与のシーズン。2022年はどのくらいもらえるんだろうかと気になっている人も多いのではないのでしょうか。長引くコロナ禍、ロシア・ウクライナ紛争や円安など、日本経済にとっても非常に不安定なニュースが続いています。
 

本記事では、2017年の上場企業の夏ボーナスの平均や業種別などを振り返っていきます。今から5年前の同じ時期は、どのくらいボーナスを受け取っていたのでしょうか。
 

5年前の夏ボーナス平均はいくらだった?


 

2017年の国内と海外の出来事

ボーナス額を見る前に、2017年にあった国内外の出来事を振り返ってみます。
 

国内で最も大きかった出来事は、「天皇陛下退位」でしょう。12月8日の閣議で天皇陛下が退位される日を「2019年4月30日」と定めた政令を決定し、13日に公布。平成が30年と4カ月で終了することや、次の年号は何かといったことが話題となりました。
 

衆院選では自民が大勝し、安倍晋三氏が第98代首相に就任。第4次安倍内閣を発足しました。
 

電通が過労自殺した新入社員を含む4人に違法な残業をさせていた件について、東京簡裁は労働基準法に違反したとし、罰金50万円の有罪判決を言い渡しました。母親の実名告発で明らかになった事件ということもあり、会社の利益のために身を粉にして働く企業文化に世間から強い批判の声が向けられました。2017年は「働き方改革実行計画」を政府が策定していた年でもあり、長時間労働是正策として「月100時間未満」の残業規制が打ち出されたばかりのころです。
 

ほかにも、将棋の藤井聡太氏がプロデビューから29連勝達成や、陸上男子100メートルで桐生祥秀選手が日本人で初めて9秒台(9秒98)を記録するなど、明るいニュースもあった年です。
 

世界では、アメリカでトランプ政権が発足し、中国では習近平氏が「1強」政権を確立。国連では「核禁止条約」が採択されるといった出来事がありました。欧州でイスラム過激思想に感化されたテロが多発したのもこの年です。
 

コロナ禍まではまだ2〜3年ほど前ですが、2016年には熊本地震、大分県中部地震、北海道に台風が上陸するなど、自然災害が目立った時期でした。
 

2017年夏季ボーナス、全体平均は36万円前後、上場企業の平均は?

それでは夏のボーナスについて、2017年当時のデータを参考に平均額を見ていきましょう。
 

まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「2017年夏のボーナス見通し」を見ると、民間企業全体の平均は36万8272万円で前年比0.9ポイント増でした。同調査は、従業員規模5人以上の民間企業が対象です。
 

2017年夏のボーナス見通し
2017年夏のボーナス見通し

一方、労務行政研究所が東証一部上場企業127社を対象に調査した資料によると、全産業平均72万8662円で前年比は横ばいとなっています。
 
東証第1部上場企業127社の妥結水準
東証第1部上場企業127社の妥結水準


民間企業全体と上場企業に絞ったデータで数値に違いがあるため、次に厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査 平成29年9月分結果速報等」の「平成29年夏季賞与の支給状況」も見ていきましょう。
 

資料によると、全体平均では36万6502円で前年比0.4ポイント増となっています。従業員規模5人以上の企業が対象となっており、規模別では「500人以上」が63万1353円、「100〜499人」が42万437円、「30〜99人」が32万6080円、「5〜29人」が26万7386円でした。
 

平成29年夏季賞与の支給状況
平成29年夏季賞与の支給状況


比較して見ると、全体平均のは三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した支給額とほぼ同じ、労務行政研究所が発表した「平均72万8662円」は、毎月勤労統計調査の「500人以上」に近い支給額となっているようです。
 

以上のことから、2017年夏ボーナス全体平均は36万前後、上場企業に絞った場合は、平均60〜70万円ほどだったと推察できます。
 

業種別トップは「自動車」の103万円、伸び率が大きかった業界は?

業種別で詳しく見ていきましょう。厚生労働省の「平成29年夏季賞与の支給状況」を見ると、1位「電気・ガス業」の72万7973円(前年同期比6.9ポイント増)、2位「情報通信業」の66万811円(同0.6ポイント増)、3位「金融業・保険業」の61万6956円(同1.6ポイント増)とTOP3はすべて前年同期比プラスとなっています。
 

ほかに伸び率が大きかった業種は「生活関連サービス業」の8.0ポイント増でした。一方で、「飲食サービス業等」は前年同期比7.8ポイント減と大きく減少しています。
 

東証第1部上場企業127社に絞って見ると、「輸送用機器 自動車」が103万5815円(前年同期比4.4ポイント減)と突出しています。次いで「化学」の82万1130円(同1.0ポイント増)、「その他製造」の81万5659円(同1.0ポイント減)と続きます。
 

前年同期比の伸び率が大きかった業種は「鋼鉄」の7.2ポイント、「非鉄・金属」の4.2ポイント、「情報・通信」の3.5ポイントでした。一方、「輸送用機器」は造船・自動車ともに4.4〜4.8ポイント減と減少傾向にあったようです。
 

厚生労働省の「平成29年夏季賞与の支給状況」から「決まって支給する給与に対する支給割合(何カ月分か)」を見ると、全体平均は0.98カ月分(前年同期比0.01カ月増)、業種別トップは「電気・ガス業」の1.58カ月分(同0.03カ月減)となっています。



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【関連リンク】
毎月勤労統計調査 平成29年9月分結果速報等(厚生労働省)
2017年 夏のボーナス見通し(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
東証第1部上場企業の2017年夏季賞与・一時金(ボーナス)妥結水準調査(労務行政研究所)

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