10年間で国内企業の働き方はどう変わったのでしょうか。本記事では、有休消化率のデータを紹介します。
有休消化率は10年間で約20ポイント増加
有休消化率の全体推移を見ると、2012年は平均41%と過半数割れしていたのが、2021年には60%にまで改善していることが分かります。年に1〜5%の増加率ですが、少しずつ上がり幅が上昇していることにも注目です。
職場の「休みにくい空気」も少しずつ解消されている
年代別で見ると、2012年時点ではすべての年代でほとんど同じだった有休消化率が、2021年には20代が最も多い63.3%に。30代と40〜50代にも若干ですが差が出てきています。変化が見られたのは2019年からの2年の間です。この年の法改正により、企業は年間10日以上の有休が付与されている労働者に対し、年5日間以上の有休取得を義務付けられました。
こういった強制力の影響もあり、日本企業が抱えていた「休みにくい空気」問題が、少しずつ解消されてきているのかもしれません。
10年間で最も改善された業界は「証券会社、投資ファンド、投資関連」
有休消化率を業界別で見ていきましょう。この10年間で有休消化率が増えた業界は、3位「不動産関連、住宅」24%から52.3%、2位は「建築、土木、設備工事」で20.2%から49.7%、1位は「証券会社、投資ファンド、投資関連」で33.3%から63%でした。特に「建築、土木、設備工事」の10年前の有休消化率は、30以上ある業界別の中でもワースト1位で、2021年に入りようやくほぼ50%の水準まで改善してきたようです。
2021年現在、有休消化率が高い業界TOP3は、3位「自動車、自動車部品、輸送機器」で71.8%、2位「コールセンター、請負業務」で72.8%、1位「通信、ISP、データセンター」73.2%という結果でした。50%を切っている業界は、伸び率2位の「建築、土木、設備工事」(49.7%)のみとなっています。
回答者からのコメントを見ると、「年休は本当に取りやすい。最低限取得する日数については上司から促される。通常の有休に加え、夏季休暇や子供のイベント休暇、親の長寿祝い休暇などもある(大和証券)」や「休暇取得の推奨は必達目標を各人に課している。残業についても単に時間短縮を社員に迫るのではなく、生産性を高めるための施策にも積極的な姿勢(三菱地所)」といった声が寄せられています。
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