中学受験塾の「裏側」が少しずつ明らかに……
12歳の子どもたちが主役の中学受験。関わったことがある人にしか分からない特殊な世界を塾講師目線で描くドラマ『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』(日本テレビ系)。物語は第4話となり、よりリアルな「お金」がテーマ。中学受験はお金がかかる、その実態が、とある夫婦関係とともに描かれました。
6年生の親が塾に支払う講習費は年間約132万円……!
中学受験塾・桜花ゼミナールで、ゴールデンウィーク特別講習の申し込み状況について講師たちがミーティングをしている場面。オプション講習への参加は任意ということになっているものの、生徒全員に受講させることを講師の“ノルマ”とすることを告げる校長の黒木(柳楽優弥)。5日間で5万円という料金設定に驚く新人講師の佐倉(井上真央)に、同僚の桂(瀧内公美)が説明します。
「ゴールデンウィーク特別講習は5日間で5万3000円。夏休み中の夏期講習は 18万2000円。 でもってその期間中に行われる夏合宿は宿泊費食費込みで 10万5000円、 冬休みには、冬期特別講習7万7000円、お正月特訓4万5000円、ほかにも日曜特訓、志望校別特訓に弱点克服特訓、直前特訓、これらのオプション講習や外部模試受験料、それに通常授業の月謝4万5千円を合わせると、しめて年間約132万円!」
月謝の金額だけを見て入塾したものの、むしろ年間でかかる塾代はオプション講習のほうが多いことに驚く保護者が多いというのはよくある話。「受講しないと他の子から遅れてしまう」「みんな受講するから」と聞かされると、申し込まざるを得ないという仕組みです。
第4話でクローズアップされたのは最下位Rクラスに所属する武田勇人(守永伊吹)。両親は、オプション講習の申し込みをきっかけに夫婦仲をどんどん悪くしていきます。
夫婦の意見が合わないと中学受験は失敗する!?
ゴールデンウイーク講習を申し込んだ方がよいと考える母・香織(星野真里)に対して、「月謝4万5000円で済むっていうから通わせてんのに、5万円追加だなんて」という父・正人(塚本高史)。さらに、スマホのゲームに夢中の正人は、受験生の勇人にも「母親には内緒」と言ってゲームを勧めるなど、受験そのものへの非協力的な態度が目立ちます。夫の態度に不満を増幅させていた香織に、「夫婦の意見が一致していないと中学受験は失敗します」という塾講師・桂の発言が刺さります。正人がスマホゲームに課金していることを知り、思いが爆発します。
「どうせなら私たちの子どもに課金してくれる!? 自分の子どもをクソ強いキャラに育ててよ! 勇人にどんな敵でもラスボスでも倒せる武器を持たせたらどうよ!」
黒木の名言:「おっしゃる通り、中学受験は課金ゲームかもしれません」
塾代のために残業することを決意した香織を見て、観念した正人が講習費を支払うために塾を訪れた場面。夫婦のやりとりを聞かされた黒木は「中学受験も課金ゲーム」だと言い始めます。「敵を倒し、次に進むには知識とコツ、テクニックが必要です。そして何より大切なのはタイミングです。課金して武器を持たせ、装具を整えるにも、タイミングを間違えるとお金をドブに捨てることになります」
自分の可能性に目覚め始めた息子のために、お金を使ってみてはどうか、と提案します。
中学受験をゲームに例えてゲーマーの父親を納得させた黒木。子どもの人生をゲームに例えるのは強引で、たとえ課金して武器を持たせても、その武器をうまく使えるかどうかは子ども次第だというのが複雑なところです。
高額なオプション講習が年間スケジュールに組み込まれている塾の仕組み。「課金」が直接合格に繋がるとは限らないと分かっていても、夏休み、年末年始……と入試本番が近づくほど、わが子だけその講習を受講しないという選択肢はないと思えてしまうものです。子どもがやる気になっているときに講習代を支払える経済力、そして夫婦が意見を一致させることの重要性だけは確かといえそうですね。
【動画】第4話を5分で復習!
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