高校生の前に立ちはだかる高い壁
 

そもそもどの会社の株が買えるのよ!?

すでに積立投資をしている娘には、ちょっと違う経験をしてもらおう。そんな気持ちもあって、個別株を買うことを提案してみました。ところが娘は全く乗り気ではありません。娘の口から出たのは……。

「ところでさ、どこの会社の株が買えるの!? 全然分からないんだけど」

当たり前のように株を買うと考えていた筆者ですが、知識がない子どもにすればそもそもどの会社の株が買えるのかが全く想像がつかないのです。正直、これにはハッとさせられました。

あえて株を買うなら「ディズニー」

普段の生活ではいろいろな会社の商品を買っているのですが、その会社の株が買えるかどうかは全く分かりません。しかも上場している会社の数がものすごく多くて、その中から何かを選ぶのは高校生にとっては難しすぎるのです。

※「東京証券取引所の上場会社の推移」によると、2020年の上場会社は3756社


「あえていうなら、ディズニーかな」。それが娘の答えでした。
 

ディズニーリゾートを経営しているのはオリエンタルランドなので、この場合はオリエンタルランドの株ということになります。
 

もともと娘はディズニーに興味がありますし、ディズニーリゾートには何度も足を運んでいるので、娘にとっては比較的なじみのある会社だからです。他に名前が挙がったのは、普段からお菓子を食べているから明治、そして好きなアーティストが所属するエイベックスでした。
 

ただ子どもからすると、お菓子が好き、アーティストが好きということなので、会社が好きというのとはちょっと違います。だから、子どもにとって会社の株を買うというのは非常にイメージがしにくく、遠い存在になってしまうようです。
 

投資資金がない

もうひとつ大きな壁になったのが、投資資金の問題です。先ほどのオリエンタルランドの場合、1株1万7000円前後(2021年10月14日現在)。100株単位で買うので、投資をするとなると170万円は必要になります。そのお金を出せるのかどうか、高校生にとってはほぼ無理な話です。今は1株から買える方法もありますが、親として思うのは、そこまでして個別株を買う意味があるのかということでした。
 

子どもだって暇じゃない

投資資金がない中でどうやって運用していくのか、そして親としてどうやって投資を教えればいいのかを考えたときに、個別株は不向きなのかもしれないと、筆者は感じました。あくまで筆者の考えなので、他の親御さんからすれば個別株のほうが会社のことが分かるし、株価の値動きを体験できる、だからいい経験になるという考えもあるでしょう。
 

いろいろな見方がある中での話にはなるのですが、個別株を持つよりは、今筆者が利用している「つみたてNISA」などを使って毎月少額から始めて、それを長く続けた方が子どもにとってもメリットが大きいのではないか。そう考えます。
 

この考えを後押ししたのは、子どものこんな言葉でした。
 

「私だって暇じゃないんだよ。今だってやりたいことがいっぱいあって、時間が足りないんだよ。それに150万円あったら、もっと違うことに使うし」
 

若い世代は若い世代なりに、これからやることがたくさん出てきます。当然時間は足りません。個別株を選ぶのには時間が必要ですし、実際に売買する場合でも時間がかかります。そのため「時間の不足」は大きな問題になってくるでしょう。また150万円を一度に投資するのであれば、もっと違うことに使いたい。勉強したり資格を取ったり、趣味にも使いたい。それも若い世代の本音だと思います。
 

実際に個別株を見ると、かなり引いてしまう

今回のこの企画は、当初は高校生の子どもに個別株を買ってもらい、その経験を伝えることで読者の皆さんの今後に生かしていただくことが目的の1つでした。でも、その思惑は外れてしまい、実際に激しく動く株価を見たり、たくさんの銘柄があるのを目の前にした時、高校生の子どもは引いてしまいました。
 

もちろん知識がまだまだ浅いことも原因でしょうけれど、若い世代なりにやることがあり、投資に使えるお金を持ち合わせていないという現実的な問題もあります。だったらお金は親が出せばいいじゃないか。その考えはありますが、子どもが買いたい会社の株を買って、そこからお金のことを学ぶ、運用を学ぶならば、そこに使われるのは子どものお金であるべきだと筆者は思っています。
 

正解がない金融教育。親ができることは?

子どもの金融教育や資産運用を考えた場合、高校生が個別の株を選び、お金を出しそれを買っていくことよりも、彼らが持っている「時間」を最大に生かしたほうがよいのではないか。自分で考えて結論を出して、自分で稼いだお金で将来的なお金を長期的な視点で作っていく。その流れができるように導くことが、親として大切なのではないか。それが今回の企画で筆者がたどり着いた結論です。
 

繰り返しになりますが、お金や投資については、それぞれの親御さんがさまざまな考えを持って子どもに教えていくことになります。そのため家庭によって違いが出てくるのは当然のことです。金融教育に正解はありません。大切なのは、子どもが投資に興味を持つよう、親が働きかけ続けることではないか。筆者はそう考えています。


 


【バックナンバー】
【高校生が投資にチャレンジ!】教えて! 株を買うってどういうことなの?
【高校生が投資にチャレンジ!2】株取引に欠かせない証券会社は、ネット証券以外はありえない理由
【高校生が投資にチャレンジ!3】証券口座を開くにはどうすればいい? お金はかかる?
【高校生が投資にチャレンジ!4】投資の方法は大きく2つ。「個別株」と「投資信託」の違いは「目的」
【高校生が投資にチャレンジ! 5】「個別株」を買うメリットは? 損せずに儲けたい!
【高校生が投資にチャレンジ!6】投資額が100万円の人と1万円の人が同じリターンを得られるのが「投資信託」
【高校生が投資にチャレンジ!7】投資はあれこれ悩まず「つみたてNISA」1本でいい理由