「つみたてNISA」と「NISA」どちらがいい?


これまで個別株と投資信託について話を聞いてきました。今回は、今話題になることも多い「つみたてNISA」や「NISA」についてです。
 

今回もセゾン投信株式会社 代表取締役会長CEOの中野晴啓さんに詳しく解説していただきます。話を聞くのは筆者の高校生の娘です。
 

これからの長期投資は「つみたてNISA」でいい

筆者の高校生の娘(以下M):実は私はずっと積立投資をしてきています。といっても私自身ではなくて母が始めてくれたんですが、もう13年くらい続けているそうです。母からは「今は学生だからお金は出す。でも将来的には自分で考えて、自分の意思で続けなさい」と言われています。もし高校生の私が将来的に自分で資産運用をするとしたら、何を選べばいいですか?
 

中野さん:今は「NISA」や「つみたてNISA」「ジュニアNISA」があって、Mさんは「ジュニアNISA」で積立投資をしていますよね。でも「ジュニアNISA」は2023年に廃止されてしまうし、利用できるのは19歳まで(口座を開設する年の1月1日現在)なので、年齢を考えても続けることができません。そうなってくると今後は税制優遇制度のある「NISA」や「つみたてNISA」を利用することになりますね。
 

M: 「NISA」と「つみたてNISA」 は両方を同時に使えるんですか?
 

中野さん:残念ながら、同時に使うことはできないんです。だから、どちらかを選ぶことになりますよ。
 

M:ズバリ、どっちがいいんでしょう?
 

中野さん:断然「つみたてNISA」ですね。
 

M:どうしてですか?
 

「NISA」と「つみたて NISA」の違いをおさらい

中野さん:まずは「NISA」と「つみたて NISA」の違いから説明しますね。
 

【ポイント1】非課税投資枠の違い
「NISA」:新規投資額で毎年120万円が上限
「つみたて NISA」:新規投資額で毎年40万円が上限

【ポイント2】非課税期間
「NISA」:最長5年 
「つみたて NISA」:最長20年

参考:金融庁「NISAとは
金融庁「つみたてNISAとは

非課税投資枠だけでみると毎年120万円の「NISA」のほうが有利に見えますよね。「つみたてNISA」が40万円なので、実に3倍です。でも非課税期間はどうでしょう。「NISA」は5年、「つみたてNISA」は20年なんです。もし投資枠を上限まで使ったならば、「NISA」は600万円、「つみたてNISA」は800万円で、結果的に「つみたてNISA」の方が積み立てられる金額が多くなるわけです。
 

長く続ければ続けるほどマイナスになりにくくなる

中野さん:それともうひとつ重要なのは、長く続けることで運用成果がマイナスになる確率を下げられることです。
 
運用成果の実績(出典:金融庁 NISA推進・連絡協議会「つみたてNISA早わかりガイドブック」)


この図を見てもらうと分かるのですが、保有期間が5年の場合、元本割れ(投資した金額よりも少なくなってしまうこと)をする確率があります。でも保有期間が20年になると、元本割れはしていないですよね。運用の成績もだいたい2~6%の間に収まっています。もちろん投資を始めるタイミング、終わりにするタイミングによってはこのような成績にならないこともあります。でも、長期的な積立投資をすれば、ほとんどの場合にはプラスになる、つまり利益が出ることになるんです。

参考:金融庁 NISA推進・連絡協議会「つみたてNISA早わかりガイドブック
 

NISAやつみたてNISAの非課税対象は、「株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益」。譲渡益というのは、株価が値上がりしたことによる利益のことです。ということは、この非課税制度を活用する大前提としては、値上がりによる利益が出ることにあるんです。逆に言うと、非課税制度は利益がマイナスになったら威力を全く発揮しない。だからこそ、損にならないほうを選ぶことに価値があるんですよ。だから僕は「つみたてNISA、これ1本でいい!」と強く言いたいんです。
 

ここまで個別株や投資信託について教えてもらいました。すでに積立投資をしている娘は、今回は経験の1つとして新たに個別株に挑戦してみることに。でも、筆者が想像していなかった事態になってしまいました。次に続きます。


教えてくれたのは……
セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEO 中野 晴啓(なかの はるひろ)

1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。2020年6月より現職。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、顧客数は約15万人、預かり資産は4300億円を超える。一般社団法人投資信託協会理事。公益財団法人セゾン文化財団理事。著書に『預金バカ』(講談社+α新書)、『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)など。
 


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