麻布中学校(2021年)
(6)津村記久子「河川敷のガゼル」※『サキの忘れ物』(新潮社)収録2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で太宰治賞を受賞しデビューした津村記久子の短篇集。収録作品が同じ年の大学入試共通テストの第二日程にも出題されたことで話題になりました。
栄光学園中学校(2021年)
(7)藤原辰史『食べるとはどういうことか』(農山漁村文化協会)20世紀の食と農の歴史や思想について研究をしている京都大学の藤原辰史さんが、中高生とともに「食べる」ことへの本質に迫った作品。ユニークな授業を展開していることでも知られる栄光学園らしさが感じられます。
(8)いとうみく『朔と新』(講談社)
2021年栄光学園中学校のもう一冊の出題作品がこちら。浦和明の星、ラ・サールでも同作品が出題されたことで話題になりました。第58回野間児童文芸賞を受賞した作品。
駒場東邦中学校(2021年)
(9)工藤純子『あした、また学校で』(講談社)例年、超長文の物語文の読解を出題する駒場東邦中学校。物語文が苦手な男子が多い中、小学校が舞台の小説は馴染みやすかったかもしれません。学校で起こる問題に向き合う子供たちの話は小学校高学年の夏休みの読書にもぴったりです。
海城中学校(2021年)
(10)寺地はるな『水を縫う』(集英社)千葉御三家の「市川中学校」「東邦大学付属東邦中学校」でも出題されたことで話題となった本。普通ってなんだろう?と問いかける家族を題材にした小説です。2021年高等学校の課題図書にもなっています。
(11)若松英輔『弱さのちから』(亜紀書房)
人は強くなければならないのか。自分の弱さと向き合うこと、弱さを肯定するところから生まれるものもあるということ。現代を生き抜く若者たちに送るエッセイは、大人にも、自分自身を見つめなおす機会をくれます。
早稲田中学校(2021年)
(12)田辺聖子『夕ごはんたべた?』(新潮社)数年以内の新しい作品から選ばれることが主流となっている昨今の問題傾向からすると、やや異色のセレクトといえそう。数々の著書を世に送り出し、文化勲章も受賞。2019年に亡くなった田辺聖子のユーモアあふれる小説はいま改めて読みたくなる一冊です。
(13)ロバート・キャンベル「『ウィズ』から捉える世界」※『コロナ後の世界を生きる――私たちの提言』(岩波書店)収録
コロナ禍での受験となった2021年度、各所でコロナ関連の出題があるのではないかと予想されました。今後どう生きていくことになるのか、というシンプルな問いや不安に対する各界の識者による提言。
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