東日本旅客鉄道(通称「JR東日本」、以下通称で記す)の第34回定時株主総会が2021年6月21日に例年通り都内のホテルで開催された。コロナ禍での総会であり、筆者は株主でもあるので出席を考えたものの、結局、インターネットで事前に議決権を行使し、当日は、ライブ配信で総会を視聴することにした。
 

本記事では、深澤祐二社長による報告や株主から出た質問内容などをお伝えする。
 

民営化後「初の最終赤字」という厳しい決算


開会前には、例年の会場と同様、JR東日本話題のSL列車や観光列車、吉永小百合さんが画面に登場する「大人の休日俱楽部」のプロモーションビデオが流され、鉄道旅行の雰囲気を楽しむことができた。
 

総会では、まず、2021年3月期の状況が深澤祐二社長より報告された。残念ながら、1987年4月の会社発足以来、初の赤字という厳しい決算となった。すなわち、営業収益は1兆7645億円(前期比40.1%減)、営業損失▲5203億円(前期は営業利益3808億円)、経常損失▲5797億円(前期は経常利益3395億円)、親会社株主に帰属する当期純損失▲5779億円(前期の純利益1984億円)という内容である。これに対し、収益力の向上と構造改革に全力で取り組み、2022年3月期の黒字化を目指すとの決意が表明された。
 

このところ他社の株主総会で話題となっているESG経営の実践については、水素をエネルギー源としたハイブリッド試験車両「HYBARI」を2022年3月頃からの実証試験開始に向け準備を推進するという。
 

株主からの質問

株主から質問があった羽田空港アクセス線(仮称)については、鉄道事業認可を2021年1月に取得し、新規工事に向けて取り組んでいる。また、JR東日本は東京五輪のスポンサーになっているが、どの程度出資しているのか、赤字経営を圧迫することはないのかという懸念が株主から糺された。
 

これに関してはIOCとの契約上、具体的な数字は公表できないことと開催には賛成する立場であることが表明された。そう言わざるを得ないのであろうが、個人株主や鉄道利用者に理解されるのかどうか疑問も残る。
 

株主総会の決議事項は混乱なく原案通り可決された。期末配当は50円で年間配当は100円である。年々増えていた配当は、2020年3月期の165円に比べ、大幅に減ったことは残念ではあるけれど、ANAなどのように無配にならなかっただけ良しとすべきであろう。減配しても安定配当を実施するとの方針を維持できるだけの経営体力があるのはさすがだ。
 

2020年度に登場した新型車両、「サフィール踊り子」用E261系

鉄道車両の国鉄形がほぼ廃止され、新型車両が続々と登場したにもかかわらず、取締役は国鉄出身者が多く、人的な国鉄形は健在と揶揄されていた人事構成もJR入社組が何人も役員となり、少数とはいえ女性の役員も登場した。JR東日本の組織は着実に変わりつつあるようで、コロナ禍にも負けず、業績が回復することを期待したい。


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JR東日本 - 2021年3月期 決算短信