東京メトロでは毎年、各駅の乗降人員ランキングを公表している。そのうち、半蔵門線渋谷駅(東急田園都市線と共用)のように他社と直接つながっている駅をのぞく130駅について1位から130位までの順位を知ることができる。
上位3位は、池袋、大手町、北千住の順で、いくつもの路線が乗り入れるターミナルばかりだ。では、下位3駅はどこかというと、最下位の130位が西ヶ原駅(南北線)、129位が桜田門駅(有楽町線)、128位は志茂駅(南北線)というラインナップで、南北線の駅が2つ入っていることに気づく。
南北線は、駒込駅~赤羽岩淵駅間の部分開業が1991年、全線開業は2000年と後発の路線である。しかも、都心の巨大ターミナル駅を経由しないので、利用者数も多くなく、電車も6両編成と短い。ただし、東急との直通運転や相鉄との直通も予定されていて、2022年には8両編成となる見込みだ。このような事情から南北線の駅で利用者が多くない駅があることは容易に想像がつく。
しかも、地図を見れば分かるように、西ヶ原駅はJR京浜東北線の上中里駅が近い。また商店街というほど大きな店がないので、新たな住民はそれほど増えていないようだ。駅から歩いて7分ほどのところにバラの名所として知られ、ジョサイア・コンドルが設計した洋館がある旧古河庭園があるので、訪問してはいかがだろうか。
一方、志茂駅は駅の東側に隅田川が流れている上に周辺に橋が架かっていないので、周辺の居住エリアが限られる。また、駅西側はJR赤羽駅から徒歩圏内になり、複数の路線が乗り入れるJR赤羽駅を利用する人のほうが多いのではないだろうか? とはいえ、新たなマンションが建設され、利用者は少しづつ増え、近年になって桜田門駅を追い抜いて、ワースト2位の地位を返上している。
南北線の駅に比べると、桜田門駅の利用者が少ないのは意外だ。都心にあり、官庁街の一角で目の前には警視庁と総務省があり、通勤客で賑わっていてもおかしくない。ただし、歩いてすぐのところに霞ヶ関駅と日比谷駅があり、利用者が分散されるのであろう。霞ヶ関駅、日比谷駅ともに3路線が乗り入れているので極めて便利だ。
一方、桜田門駅は有楽町線が乗り入れるだけで、乗り換えはできない。しかも池袋駅以外のターミナルである新宿駅、渋谷駅、東京駅からは、どこかで乗り換えないと到着できない。たとえば、隣の有楽町駅でJRに乗り換えできるけれど、東京駅から有楽町駅乗り換えで桜田門駅に行くのなら、東京駅から乗り換えなしで丸ノ内線に乗車して霞ケ関駅に向かったほうが手っ取り早い。
また、桜田門駅は、駅名のように皇居の桜田門に近いので、駅の北半分は皇居の広大な敷地が占める。桜田門へ行く以外は何もないので、集客には不利だとも言える。もっとも、このご時世、「密」を避ける意味もあって、都心にありながら比較的閑散とした桜田門駅を利用するのは安心・安全ではとも考えられる。人でごった返している都心の駅の中では異色の存在なのだ。
このように、利用者が多くないのには、それなりの理由が考えられ興味深い。
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・東京メトロ「各駅の乗降人員ランキング」(2019年度)