近年SNS上でたびたび話題になっている地域格差。東京都と鳥取県、北海道と沖縄県と言った極端な比較も面白いが、同じ都道府県内でも地域によってかなりの違いがあると思う。
例えば大阪府。現在の大阪府域は江戸時代までは摂津(北西部)、河内(南西部)、和泉(東部)という3つの国に分かれており、その中でもさらに大坂や堺といった大都市とそれ以外の小都市、農村部ではそれぞれ異なる文化を持っていた。もちろんその名残は今でもまだまだ健在だ。
まず断っておきたいが、漫才のように「でんがな、まんがな」をしゃべり、ヒョウ柄の服を着て、“けつねうろん”やタコ焼きにうつつを抜かす……そういったステレオタイプの“オオサカ人”はほぼ大阪市内でしか見られない(大阪市内でも絶滅危惧種だが)。大阪市やオオサカ人は大阪府全体から見るとむしろ異彩を放っており、良くも悪くも特別な存在なのだ。大阪市と大阪府の各地域の違いとは果たしてどのようなものなのだろうか。奈良生まれ、大阪で学び遊び、神戸に住む代表的関西人・中将タカノリの独断と偏見による「現代大阪評」決定版!
大阪府の「大阪市」以外のエリアの特徴は?
豊中市、吹田市、箕面市などを中心とした北摂エリアはハイソな高所得層が多く住み、住環境が良いことが自慢の種。大阪の「上等」なベッドタウンとして発展した経緯があるので「遊びに行ったり仕事に行くのはいいけど住むのはねぇ……」と大阪市をやや見下している節があり、今ではむしろ神戸や京都にシンパシーを寄せている。言うなれば「大阪のユダ」だ。
【和泉エリア】
いっぽう堺市、岸和田市、泉佐野市など和泉エリアは戦国時代の繁栄を忘れることができず「大阪」とまとめられることにやや屈折した感情を持っている。大和川を越えて大阪市側に渡ることを極端に恐れており、「格下」と思い込んでいる和歌山との交流に熱心だ。住民の誇りは千利休とだんじりと関西国際空港。岸和田のローカルお好み焼き「かしみん焼き」は美味しい。
【河内エリア】
東大阪市、八尾市などの河内エリアは大阪市の文化を煮詰めて、より庶民的にダウングレードしたユニークな文化を持つ。自転車とパンチパーマの普及率が異様に高く、駅前は違法駐車車両と肩で風切るパンチパーマ―であふれている。「大阪=ヤクザ」のイメージを作った任侠、八尾朝吉の出身地であり、ガラが悪いことを良しとする気風が今も根強く残っている。「大阪(市)よりも大阪らしい」と言われることなど、大阪市を挟んで反対側、兵庫県尼崎市との共通点を強烈に感じる。
大阪市と他の各エリアとの違いをおわかりいただけただろうか? 大阪府には一口で表現しきれない多彩な個性と魅力がひしめきあっている。このことを知れば大阪市と大阪府を一体にした大阪都構想なんて絵空事にすぎないと思ってしまうのだが……読者諸兄のご感想はいかに。
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