地⽅移住に関するアンケートを毎年実施している認定NPO法⼈ふるさと回帰⽀援センターは、相談者・セミナー参加者を対象に行った2020年1〜12⽉の集計調査を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け「テレワーク」の導入が進む昨今、移住希望地にはどのような変化が見られたのでしょうか。
窓口相談では静岡が1位、セミナー相談では和歌山が1位に
ふるさと回帰支援センターへの2020年の相談件数(面談・電話・メール・見学・セミナー参加)は、前年比で約22%減の3万8320件。2~5月は新型コロナの影響で移住相談会・セミナー等が中止になり、緊急事態宣言明けの6月以降は約86%がオンライン・ハイブリッド型での開催形式となりました。そのため、2020年の移住希望地ランキングは窓口相談とセミナー参加者それぞれのランキングを算出しています。
窓口相談での人気1位は静岡県
窓口相談では、全年代で人気が高かった静岡県が1位となりました。静岡県は新型コロナ禍でも出張相談会をオンラインに切り替えるなど体制を整え、相談件数を落とさなかったことが影響しているようです。同じくオンライン出張相談を強化した山梨県も2位につけています。
一方で、9位に神奈川県、10位に群馬県などがランクインしています。このことから、東京の郊外の概念がさらに拡張していったことが分かります。コロナ禍において在宅勤務が増え、職場へのアクセスを重視していた人が、出勤時間よりも「より快適さ」を求めた結果での移住希望だと考えられます。
セミナー相談では和歌山県が1位に
セミナー参加者のランキングは、和歌山県が1位、2位には広島県、3位には佐賀県といった窓口相談と大きく異なった結果になりました。参加しやすいオンラインイベントを多数開催し、「しごと」「すまい」といった移住者の関心事だけでなく、地域の食材や地酒などをテーマにイベントを開催した自治体が人気を博したようです。
新型コロナウイルスが及ぼす移住先の影響
新型コロナウイルスの感染拡大によって、在宅で仕事をするテレワークが注目を集め、普及しています。テレワークによって転職しない移住が可能となり、移住する際の一番の難点である「仕事」の問題が解決されました。
そのため2020年調査では「1年以内の移住」希望が前年より6.1ポイント増加する結果に。また、移住希望先の地域類型として「地方都市」を挙げる割合が68.5%と根強い人気であるのも、少なからず新型コロナウイルスの影響があると考えられます。
こうした影響は同センターを知った経緯にもおよび、「インターネット検索等」によるものが過去最大の54.3%となったほか、「自治体HP」も過去最大の21.1%と、2019年よりも12.7ポイントも上昇しました。
さらに、従来は相談者の居住地も首都圏が大多数だったものが、近畿圏・中部圏からの参加者も増加したことで、オンライン化が現在の居住地に左右されずに移住の視野を拡張する機会をもたらしたとも考えられます。
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