後のスターが多数。新人王を目指す選手たち

大学屈指のスラッガーで近畿大からドラフト1位で入団した佐藤輝明(写真:アフロ)

プロ野球選手にとって、目指す目標は人それぞれですが、生涯で1度しか得ることができないタイトルがあります。それがズバリ、新人王のタイトルです。

正式名称「最優秀新人」という新人王は、プロ野球を担当する記者が投票して選出するシステム。受賞できる選手にも条件があり、プロ5年目以内、一軍での登板イニングが30イニング以下&60打席以内という制限があるため、ほとんどの選手が一生に一度のチャンスしか巡ってこないというレア度の高いタイトルになります。

それだけに受賞した歴代の選手たちを見ると豪華そのもの。2000年以降に限定しても、青木宣親(2005年)や田中将大(2007年)といった後のメジャーリーガーをはじめ、今オフにポスティングによるメジャー移籍を目指す有原航平も2016年に受賞するなど、新人王受賞選手は後のスター選手と言っても過言ではないでしょう。

では、来季の新人王候補にはどんな選手がいるか、一足先にチェックしてみましょう。
 

栗林良吏(広島・投手)

完成度の高さが求められる新人王のタイトル。それだけに高卒選手よりも、大卒、社会人卒の選手の方がダントツで有利ですが、その中でも来季のセ・リーグ新人王の筆頭格に挙げられているのが今年の広島のドラフト1位選手、栗林良吏です。

もともと大学3年生時に大学日本代表に選出されるなど、注目度の高い選手でしたが、本格化したのが社会人に入ってから。最速153キロのキレのいいストレートを軸にした本格派のピッチングで、奪三振を量産。三振を取る際はフォークなどの変化球を絡めて取ることが多いですが、トヨタ自動車時代は得意球のスライダーを封印していたため、プロの世界ではさらに威力を発揮することでしょう。

また、完投能力が高く、先発で登板した際には長いイニングを任せられるほどの安定感もあります。それだけに球団も期待が高く、かつてのエース、北別府学がつけていた背番号20が与えられるほど期待されています。広島勢としては今季の新人王、森下暢仁に続いて2年連続で新人王の誕生なるかの期待がかかります。
 

佐藤輝明(阪神・外野手)

野手の新人王候補はこの選手。スケールの大きなバッティングと常にフルスイングで相手投手を威圧するその様子はまさに糸井嘉男2世の称号に恥じぬ存在感を披露。それだけにプロのスカウトたちもこぞって注目し、ドラフト会議では4球団が指名するという人気ぶり。くじ引きの結果、地元球団である阪神への入団が決まり、早くも阪神では受け入れ態勢を万全にすべく戦力強化に余念がありません。

佐藤にとってツキがあったのが、指名された4球団(巨人、ソフトバンク、オリックス、阪神)の中で最もレギュラーに定着しやすいのが外野、ライトが空きポジションとなっている阪神。新人王になるためには早い時期から一軍のレギュラーに定着して成績を残す必要があるため、故障さえなければ開幕スタメンはほぼ確定というチーム状況は佐藤にとっては追い風と言えるでしょう。
 

森敬斗(DeNA・内野手)

「新人王」という名称ですが、条件さえ満たせば5年目以内の若手にもチャンスがあるのがこのタイトル。その中で大穴となりそうなのが2021年シーズンでプロ2年目を迎える森敬斗です。

桐蔭学園時代から俊足と抜群の運動神経を武器にしたアスリート系のプレースタイルが話題になった選手ですが、プロ1年目となった今季は二軍で主に試合出場。打率こそ.210と冴えませんでしたが、10月になると一軍へ昇格。すると初出場となった10月27日の対巨人戦で初打席初安打をマーク。これをきっかけに8試合で3安打、打率.250でシーズンを終えました。

まだまだ粗削りなところが多いのは確かですが、プレースタイルそのもののスケールが大きく、レギュラーに定着できれば坂本勇人(巨人)クラスの成長を遂げるのではないかと予想される大物候補。2021年シーズンから監督として指揮を執る三浦大輔の判断にも注目が集まります。
 

早川隆久(楽天・投手)

ここからはパ・リーグの新人王候補の紹介ですが……2021年のパ・リーグ新人王は順当に行けば早川隆久の1強というムードが早くも漂っています。

木更津総合時代からU18に選出されるなど国際舞台での経験を積んできた左腕投手ですが、より本格化したのが大学進学後。1年生の春からリーグ登板を果たすとまもなくエース格に成長。最速155キロという圧倒的な速さを誇る直球を軸にカーブ、スライダー、チェンジアップらを織り交ぜる本格派。さらに打者を打ち取るためにツーシームまで習得しているなど、その多彩な投球術はプロ顔負けです。

楽天の先発投手陣を見ると、エース格である則本昂大が故障がちで、涌井秀章、岸孝之らもベテランの域に入ってくるなど決して先発ローテーションが盤石でないため、早川がこの枠に食い込み、グイグイと勝ちあがっていくようだと新人王はもちろん、ほかの投手タイトルもおのずと見えてくることでしょう。
 

黒川史陽(楽天・内野手)

その楽天で野手の期待株が黒川史陽。今季は高卒ルーキーながらシーズン途中で一軍に昇格するなど早くからその素質が期待されていました。結果は10試合に出場して打率.143(14-2)という成績に終わりましたが、高校通算34本塁打を放つなど、これまで楽天には生え抜きのスラッガータイプの野手がいなかっただけに、球団待望の大砲候補の加入にその期待はかなりなものがあります。

くしくも楽天もサードのポジションはロメロが退団したために空位に。空いたポジションを埋める活躍できれば新人王も夢ではありません。
 

宮城大弥(オリックス・投手)

最後に紹介したいのが宮城大弥。ハズレ1位指名の選手だったにもかかわらず、ファームでは13試合に投げて6勝、ウェスタンリーグの最多勝タイの6勝を挙げました。この好投が評価されて10月には一軍に昇格。勝ち星こそ付きませんでしたが、京セラドーム最終戦となった11月6日の対日本ハム戦では5回3失点の好投を見せました。

若手とは思えぬ堂々たるマウンドさばきに印象がある投手だけに、ひとたび白星をつかめば一気に成長すること間違いなしです。
 

来季の新人王候補から目が離せない!

いかがでしたか? 大物候補がイマイチだった反面、注目されていなかった若手が突如ブレイクするというのがプロ野球の醍醐味。果たして2月のキャンプ、4月の開幕時にはどんな選手がそのベールを脱ぐのでしょうか?