やっぱり損なの?「早生まれ」に聞く、リアルなメリット・デメリット

「早生まれは損」とはよく聞く話ですが、4月生まれと比べて3月生まれの偏差値や所得が低いという研究結果が発表されて話題になっています。本当に彼らは損をしているのでしょうか? 1~3月生まれの人に、リアルな声を聞いてみました。

「早生まれの子どもは(遅生まれの子どもに比べて)認知能力と非認知能力が低い傾向にあり、早生まれの不利は大人になっても消えない」――東京大学の山口慎太郎教授、慶応義塾大学の伊藤寛武特任助教、中室牧子教授による論文が発表されたことで、イッキに注目を集めている「早生まれ」問題。

その調査結果によると、先に掲げた理由により、4月生まれと3月生まれでは高校時点で偏差値が「4.5」も違い、大学進学率も3月生まれに比べて4月生まれのほうが高いだけでなく、その後の所得が「4%」ほど早生まれのほうが低いというのです。
 

当の早生まれの人たちは、そうしたデメリットを感じることはあるのでしょうか? 一方でメリットはあるのでしょうか? リアルな声を聞いてみました。
 

幼少期よりもむしろ…ティーン時代のデメリットをあげる人も

現状(4月入学)の教育制度では、1年近い差がつくため、早生まれの人が「ソンをしやすい」というのは理解できます。
 

ちなみにですが、筆者は早生まれではありませんが12月生まれなので、同学年の4~5月生まれの生徒が高校3年生になる直前の春休みに運転免許を取得し、夏休みにドライブに出かけているのを見て、なんとも羨ましく思ったものです。ほかにはどんな、「損したこと」「不利だと感じたこと」があるのでしょうか、早生まれの人たちに訊いてみました。
 

「私は3月生まれで、4月生まれの小学校の友人からいつも『チビ!』って蔑まれていました。泣きながら家に帰って母親に訴えると『小さいほうがかわいいんだから、いいじゃない。その子はヤキモチ焼いてるのよ!』となぐさめられ、なんとなくうやむやにされた感はありましたが、早生まれは周囲からバカにされることが多いので、今でも人づきあいは苦手です。そういう意味でのデメリットは多いんじゃないか?と思います」(倫美さん・30代)
 

「小さい頃は走ることが好きで、小学校時代はずっとリレーの選手になりたかった。選考レースに出られたものの、あと一歩及ばず。負けた相手は、やはり4~5月生まれが多かったと思います。考えてみれば1歳近い年齢差があるわけですからね。その後もあきらめずに走り続けて高校時代には総体に出たりもしたけど、今思えば、小さいときはとくに体格差が顕著なんだから、半年くらいで区切ったほうが平等ですよね」(理也さん・20代)
 

「最大のデメリットは、成人式でお酒が飲めないことでした。周囲の友達はみんな『おめでとー! かんぱーい!』って楽しそうにしているのに、僕をはじめ早生まれで19歳だった面子はジュースをチビチビ楽しむだけ。『お子様にはお酒はまだ早いよ~』とか言ってくるバカもいてね。イライラはマックスでしたよ。ちなみに、このときに人生初の『ワリカン負け』をくらったんですが、お前ら全員、覚えてろよおぉぉぉぉ!なんて思いました。まぁ、今となっては笑い話ですが」(聡さん・30代)
 

早生まれのメリットも⁉「不幸じゃない!」と反論も

もちろんデメリットばかりではないと、早生まれの皆さんはおっしゃいます。なかには「来世でどちらか選べるとしたら、やっぱり早生まれを選びたい!」という人も。
 

「私の場合、早生まれで身長が小さかったことが有利に働きました。クラスの中でいちばん身長が小さかったので、席替えがあるたびにいちばん前の列にされていたのですが、おかげで授業中に真剣に先生の話を聞くようになり、中学・高校の頃には勉強をするコツを掴み、勉強は常にトップクラス。思い描いた未来を手に入れることができました。私もそうですが、早生まれの人は負けず嫌いな人が多いのでは?」(すずさん・30代)
 

「同級生が満50歳になる歳に同窓会を開いたんだけど、他の人たちはみんな『ヤベェ、50歳になちまった!』ってボヤいているなか、『あ~、みんなもう50なんだ。俺はあと半年以上あるけどね~』と他人事。早生まれだと、歳をとるのが周囲より遅く感じられるっていうか。いつまでも俺は周囲のやつより若くいられる感があって、そこは得してる気がします」(健太郎さん・52歳)
 

「これはウチだけの話かもしれないのですが、父がサーフィン好きだったため、家族の誰かの誕生日には、家族そろって海に旅行に行くのが我が家のルールでした。母と姉は同じ夏生まれで湘南や宮崎、沖縄へ。私は2月生まれだったのと、ちょうど旅行代金が安くなる時期だったためか、父が奮発してニュージーランドやオーストラリア、ハワイに連れていってくれました。姉からは『エコヒイキだ!』なんて文句を言われることもありましたが、今考えればお盆の時期に海外なんて高くて行けないですよね。2月生まれで良かった~♪って、今でも思ってます」(海美さん・20代)
 

こうして実際にお話を聞いてみると、早生まれだからどうこうという差はほとんど見られないような気がしました。今回の山口慎太郎教授らの研究結果を受けて改善するのであれば、親の態度であり、教育現場であり、生まれた時期の違いで生じる格差を気にせずに生きられる制度づくりでしょう。
 

そもそも、自分で誕生日を選べるわけもないので、後出しのように『おまえは早生まれだから偏差値が低いんだ! 給与が4%低いんだ! 人生でソンしてるんだ!』なんて言われても困りますよね。ぶっちゃけ「で?」と思っています。早生まれの方においては、早生まれならではのメリットを生かし、これからも強く生きていってほしいものです。

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