3度目の移籍で復活を果たした涌井秀章

15年間におよぶプロ生活のほぼ全てを第一線で過ごし続けてきた涌井投手

今季も白熱しているプロ野球ペナントレース。パ・リーグではV4を狙う王者ソフトバンクの独走を許すまじとばかりに各球団が猛追していますが、中でも今季絶好調なのが楽天。その躍進を支えているのが今季新加入の涌井秀章でしょう。

涌井は昨オフに無償トレードでロッテから移籍。かつては最多勝を3度獲得するなど、通算133勝を挙げた本格派の投手でしたが、直近3年の勝ち星は5勝→7勝→3勝とじり貧。今季6月で34歳を迎え、これ以上の伸びしろは見込めないと思われていました。

しかし、フタを開けてみれば涌井は開幕から勝ち星を積み重ね、6・7月の月間MVPを受賞するなど全盛期を彷彿とさせるピッチングを見せて復活。8月27日現在の成績は10試合に登板して8勝1敗 防御率2.25。勝利数と防御率でリーグ1位という好成績を残しています。

これで涌井の通算勝利数は141勝に。名球会入りの基準となる通算200勝まであと59勝に迫ってきました。投手の分業制が進んだ現在のプロ野球界ではなかなか見られなくなった通算200勝の大記録に涌井は果たして届くのでしょうか?
 

35歳からの5年間がカギに

涌井の通算200勝到達への可能性を探るべく調べたのは、1980年以降に入団した名球会入り投手4人。まずは年齢別勝ち星の推移を見てみましょう。

▼1980年以降に入団した名球会入り投手の年齢別勝利数推移

投手名 工藤公康 山本昌広 野茂英雄 黒田博樹
最終所属球団 西武 中日 ロイヤルズ 広島
通算勝利数 224勝 219勝 201勝 203勝
34歳までの通算勝利数 144勝 123勝 176勝 120勝
35歳時の勝利数 7勝 11勝 16勝 11勝
36歳時の勝利数 11勝 10勝 4勝 13勝
37歳時の勝利数 12勝 7勝 5勝 16勝
38歳時の勝利数 1勝 9勝 11勝
39歳時の勝利数 9勝 13勝 11勝
40歳以降の勝利数 40勝 46勝 0勝 21勝
200勝到達時の年齢 41歳3ヵ月 42歳11ヵ月 36歳9ヵ月 41歳5ヵ月

※年齢はシーズン終了時点のもの                            ※野茂英雄、黒田博樹は日米通算

34歳当時、涌井よりも20勝近く少なかった山本昌広や黒田博樹は35歳~39歳の間に2桁勝利を3度以上記録する活躍で先発ローテーションに定着し、コンスタントに勝ち星を量産。この5年間の勝ち星は山本昌が50勝、黒田が62勝と荒稼ぎして、40歳時点での残り勝ち星は30勝以下に減らしていました。

その結果、山本昌は42歳11ヵ月、黒田は41歳5ヵ月に通算200勝に到達。両者とも40代以降の勝ち星が50勝未満だったことを考えると、35歳から39歳までの追い込みが通算200勝をグイっと近づけることになったと言えるでしょう。

ちなみに34歳時点の勝ち星が涌井と近い工藤公康は、35歳から39歳までの勝ち星と40歳以降の勝ち星がそれぞれ40勝と同数でした。

涌井が通算200勝を記録するには39歳までのシーズンでどこまで勝ち星を積み重ねられるかがカギになると言えるでしょう。
 

今のペースを保てれば石川雅規も名球会入り!?

ここまでは涌井秀章を中心に見てみましたが、現役選手の中には涌井よりも勝ち星を稼いでいる投手がまだまだいます。そこで彼らにも今後、通算200勝到達の可能性があるかどうかも合わせて見てみましょう。

▼通算150勝以上を挙げた現役投手の年齢別勝利数推移

投手名 石川雅規 岩隈久志 松坂大輔 田中将大 ダルビッシュ有
所属球団 ヤクルト 巨人 西武 ヤンキース カブス
通算勝利数 171勝 170勝 170勝 174勝 161勝
34歳までの通算勝利数 131勝 154勝 164勝 174勝※31歳時点 161勝
35歳時の勝利数 13勝 16勝 0勝
36歳時の勝利数 8勝 0勝 0勝
37歳時の勝利数 4勝 0勝 0勝
38歳時の勝利数 7勝 0勝 6勝
39歳時の勝利数 8勝 0勝 0勝
40歳以降の勝利数 0勝 0勝

※年齢はシーズン終了時点のもの            
※2020年8月27日現在            
※岩隈久志、松坂大輔、田中将大、ダルビッシュ有は日米通算

石川雅規を除く4投手は34歳時点で150勝を超えるハイペースで勝ち星を積み重ねていますが、すでに40歳の大台を迎えた松坂大輔は35歳以降故障に泣いて、現時点まででわずか6勝止まり。

岩隈久志も35歳のシーズンに16勝を挙げて以降は日米合わせて一軍での登板がありません。山本昌や黒田が勝ち星を荒稼ぎした5年間をほぼ棒に振る形になってしまったため、通算勝ち星が伸び悩んでしまいました。

涌井同様、今季絶好調のダルビッシュ有に通算勝ち星がすでに170勝を超えている田中将大らはこれからケガなくシーズンを過ごせるかが大記録達成のカギを握ることでしょう。

松坂や岩隈とは異なり、35歳を過ぎてもコンスタントに勝ち星を積み重ねてきたのが石川雅規。35歳以上の成績を見ると工藤公康とほぼ同じようなペースで推移しているのがわかります。

40歳になった今季はまだ勝ち星がありませんが、シーズン7~8勝ペースであと4シーズンほど投げることができれば念願の通算200勝達成が見えてきます。
 

ベテラン投手たちの大記録達成に注目!

いかがでしたか? 過去の達成者の成績推移を見ると、涌井秀章はもちろん、石川雅規にも達成の可能性が十分あることが分かります。ベテラン投手である彼らの今後に注目しましょう!