世界経済フォーラム(WEF)が発表した、世界153か国の“男女不平等状況”を分析した「ジェンダー・ギャップ指数2020」によると、日本はなんと121位。主要先進国(G7)の中では圧倒的に低く、教育面での男女差は見られないものの、男女の賃金格差や社会的格差、また、女性の社会進出が少ないことなどが評価を下げる原因につながっているとされています。都市圏ではこうした“男尊女卑”は減少傾向にありますが、いわゆる“田舎”にはまだまだ存在するようで……。

男性陣は座って飲むだけ。これが田舎の超現実

埼玉県在住で、中国地方某所出身のご主人を持つ鈴木衣梨奈さん(仮名・32歳)は、この夏、法事に出席するためにご主人の実家に帰省しました。義実家はいわゆる“本家”と呼ばれるような大きな家で、着いたその日から掃除に買い出しに料理に……と奔走したといいます。
 

「夫の実家は笑っちゃうほど男尊女卑が根強いんですよ。今って何時代でしたっけ?って嫌みのひとつも言いたくなるくらい。義実家には義祖母、義父母、義弟夫婦、そして独身の義姉が住んでいるのですが、義父も義弟もお箸ひとつ自分で運びません。朝はノソノソ起きてきて『メシ!』のひとこと。以前行ったときに一事が万事そんな感じだったので、私もエプロン持参で、かなり覚悟して出かけました。

法事の当日、親戚一同が朝から集まったので女性陣(義祖母、義母、義伯母、義叔母、私、義弟嫁)はてんてこまい。作り置きのお惣菜や、仕出し屋から届いた大量の料理を皿に盛って並べ、足りない料理を作り、離れにある大きな冷蔵庫から何本も何本もビールやお銚子を運び、乞われればお酌をし……それなのに男性陣は、座敷にドカッと座り込んで大宴会状態。うわー、田舎ってこわーい!なんて思っていました。

お昼近くになると親戚だけでなく、近所の人たちも次々に来訪。どんどん人数が増えるので、その後も女性陣はごはんを食べることもできずにいました。すると、そこに義姉が登場したんです」
 

手伝いもせず文句ばかりの小姑に対し、怒りを爆発させた人物

義姉さんは挨拶もそこそこに座敷に入るとドカッと座り込み、ごちそうを食べ、ビールを飲み始めたといいます。
 

「それだけならまだ邪魔にならないのですが、時折台所をのぞきに来ては『ちょっと、煮しめが足りてないんだけど。何やってるの?』とか、『お箸と小皿が足りないわよ。気が利かないわね』とネチネチ。義母がたしなめ、手が足りないから手伝ってもらいたいと告げても『私は座敷を見張る仕事があるから!』と、ドスドスと足音を立てて座敷に戻ってしまいました」
 

そんなとき、こうした集まりを苦手とする衣梨奈さんのご主人が手伝いにやってきたといいます。さすが男手だけあり、料理を盛った重たい大皿を軽々と運び、酒屋から届いたばかりのビールをケースごと座敷へ。衣梨奈さんが「やっぱりウチの旦那はいい男だった!」と惚れ直していると、そこに再び義姉さんがやってきたのだとか。
 

「『ちょっと! 7人も女手があるのに男に手伝わせるなんて、アンタ、何やってるのよ! こういうときは、座敷に戻らせるのが常識でしょ!』と、私に向かって怒鳴り始めたんです。私が驚いて固まっていると夫が義姉に向かい『あのさ、俺が手伝いたいから手伝ってるのになんの問題があるの? それに7人じゃなくて6人だよね。ばーちゃん、母さん、おばちゃんたち、弟嫁ちゃん、それに俺の奥さん。誰かさんはまったく手伝ってないじゃん。それに、なんで女が働いて男が食うのが常識みたいになってるの? 今、何時代? ほんとバカバカしいんだけど』と」
 

義姉さんが顔を真っ赤にして今にも爆発しそうになっていた次の瞬間、腰が痛いからとイスに座って作業をしていた義祖母さんが急に立ち上がりました。
 

「『そうよ。本当にバカバカしいわ。なんで女だけが働いて男たちは食べて飲むだけなんて風習になったのかしら』という義祖母のつぶやきに、伯母や叔母も『ほんとよ~。ウチって古いのよね』『やっぱり、令和になってまでこんなことしてるなんておかしいわぁ』なんて言い出し、みんなで大爆笑。義母と義姉は『え、でも、でも……』となぜかオロオロしていましたが、『もういいわ。十分よ。あとは男たちにやらせましょう。さ、私たちもご飯を食べるわよ』という義祖母のひと声で、女性陣の宴会が始まりました(なぜか夫も混じってましたが)」
 

座敷から響く「ビール!」の声に、義祖母が喝!

「その後も座敷からは『ビール!』『皿が足りないぞ!』といった声が聞こえてきましたが『義姉ちゃん。ほら、男性陣を働かせちゃいけないって思ってるなら、アンタが持っていきなさい』と義祖母さんが言ってくれたので、私たちは座ったまま食事を続けました。すると義姉さんは不貞腐れた様子で自室へ……。しばらくして座敷にいた義父と義伯父が『おい、聞こえないのか! ビールって言ってるだろう!』と怒鳴り込んできましたが、義祖母に『ビールくらい自分で運びなさい。まさかアンタたち、そんなこともできないわけじゃないでしょうね!』とピシャリとやられ意気消沈。考えてみたら、本家の中でいちばん偉いのは義祖母だったんですよね。その義祖母に言われたら、誰も逆らえないわけで(笑)」
 

その夜、お皿を洗っている義祖母さんの横で衣梨奈さんが片づけを手伝っていると、
 

「時代が変わったことに気付かず、そのまま死んでいくところだったわ。古い価値観なんて無様なものを残しておくから、義姉ちゃんみたいなことを平気で言える人が出てきてしまうのよね。あの子があなたを罵った瞬間の顔がとにかく醜くて……あの顔を見た瞬間『私が間違っていた。このままじゃダメだ! 家がダメになる!』って思ったのよ。気付かせてくれてありがとうね」
 

と義祖母さん。その様子があまりにもかっこよかったため「夫に頼んで2ショット写真撮っちゃいました♡」と、写真を見せながら笑顔で語ってくれました。
 

今回、図らずも義姉という要素により、ひとつの家が家庭環境を改善するきっかけにつながりましたが、日本ではまだまだ男尊女卑的思考がくすぶっています。女性も男性と同様に働き、社会に貢献することが求められる世の中。女性たちも改めて自分たちの境遇を見直し、声を上げていくことが必要になるでしょう。