アラフィフ会社員。アーリーリタイア後は年収200万円でも大丈夫?

早期退職を考えている方は老後の生活に不安を抱えているケースが多いと思いますので、早期退職後に老後生活も年収も気にせず好きな仕事をできるかを検証していきます。

退職年齢も企業によっては延長されていますので、長く会社で働くことが一般的になりつつありますが、お勤めの会社をアーリーリタイアされて、自分の好きなことをしながら稼いでいきたいという方もいるでしょう。
 

今回はアーリーリタイアを見据えて働くKさんを例に、リタイア後はいくら収入を得れば老後の生活に影響がないのかを見ていきましょう。
 

アーリーリタイアと一言でいいましても、リタイア後にお店を開く、趣味の範囲で働く、全く働かないなど、多種多様な働き方があります。
 

Kさんは不動産業界に27年間お勤めで、年収は700万円でした。52歳でリタイア後は趣味の音楽関連の活動をしていきたいと考え、年収は200万円を見込めるものも、それ以上稼ぐことができるのか先が読めないとのことです。リタイア後は年収が一気に少なくなるので、老後生活に支障があるのではないかと不安なようでした。
 

▼Kさんの基本データ

Kさん(48歳、会社員)

年収:700万円

家族:配偶者(46歳/主婦)、長男(21歳/大学生)

支出:

  • 生活費:約26万円/月
  • 教育費:102万円/年
  • 住宅ローン:127万円/年
  • 住宅関連費用:36万円/年

現保有預貯金(有価証券を含む):800万円

退職金:2,000万円
 

52歳でリタイア後、年収は200万円で生活はどうなる?

Kさんの現状プラン(milize pro ライフプランシミュレーションより)

リタイア後は70歳まで長く働くことができるものの、手取り年収で200万円と現役時代から大幅な収入ダウンがキャッシュフローにも響いてきます。収支の赤字から分かるように、貯蓄も数年で取り崩し、運用資金も現金化して数年で底をついてしまいました。
 

収入が減っても支出も同じように減らすことができれば収支は変わることがないのですが、Kさんは住宅ローン返済期間が残り10年あったことも大きな要因でした。
 

図1のような資産グラフを見てしまうと、Kさんのアーリーリタイアの夢は閉ざされてしまいそうですが、どうにか対策ができないか、もう一度ヒアリングをしてみました。すると、お子さんが独立されるタイミングであるので生活費を減らせることと、今後の仕事はリモートでできることが多いため地方への引っ越しも検討しているとのことでした。
 

▼ヒアリング後の修正ポイント

  • リタイア後の生活費を現状の80%とする(地方在住なので物価上昇率は0.2%)
    →21万円/月
  • 住宅ローンの返済が終わり次第、マンションを売却
    →1,800万円の臨時収入
  • 住居費も地方の相場で設定
    →賃貸価格(管理費込)10万円/月

収入・支出は上記がポイントですが、もう2点資産の対策を加えていきましょう。

  • 退職金は数年分の生活費や緊急資金を残して、他のお金は運用に回す
    →1,000万円を投資信託へ
  • 流動性資金が少なくなってきたタイミングで、運用資金を取り崩しながら生活費に回す
    →70歳から退職金(1,000万円投入)で18年間運用していた投資信託を年間100万円ずつ取り崩していく


退職金は大きな資金の流入ですので、現金として寝かせずに、運用資金へ移動させることが対策のポイントです。また、流動資産が少なくなってきたタイミングで、長期運用をしている投資信託を取り崩しながら生活費に充当させていくのが良いでしょう。
 

5つの対策をしたらアーリーリタイア後の生活はどうなる?

図2:Kさんの対策後の資産額推移(​​​​milize pro ライフプランシミュレーションより)

地方移住によって生活費と住居費が減少し、不動産売却による大きな収入に加えて、退職金を長期で運用できましたので、アーリーリタイア後の大幅な収入減少をカバーすることができました。
 

今回は5つの対策を実行しましたが、必ずしも上記のような対策ができるとは限りませんし、個々によってベストな対策があるでしょう。
 

アーリーリタイアをお考えの方は早めにファイナンシャルプランナーに相談し、リタイア後の生活や資金の流出を可視化することをお勧めいたします。
 

この記事を執筆したのは……

荻野 奈緒美

株式会社MILIZE所属のCFP認定者。フリーアナウンサー。WOWOWアナウンサーを経て、その後フリーに転身。NHKBS「週刊シティ情報」などを担当し、講演会・イベントでのMCなど多方面で活躍。経済番組に出演したのをきっかけにFP資格を取得。 現在はFPとして相談業務や執筆活動も行っている。
 

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