1力月間打率4割をキープ! 鯉のプリンスがついに覚醒

120試合制で夢ふくらむ打率4割

新型コロナウイルスの影響で開幕日が6月19日までずれ込んだ今季のプロ野球。例年なら中盤戦に差し掛かる時期に開幕を迎えたため、シーズンは当初の143試合制から120試合に短縮。そのため、積み上げ系の記録である本塁打や勝利数は少なくなることが予想され、タイトル争いとしてはやや物足りない数字になることが予想されます。

しかし、その中で例外となるのが打率を競う首位打者争い。試合数が少ない方が高打率を残しやすいため、今年は史上初の4割打者誕生が期待されています。実際、開幕から1力月間もの間打率4割を記録した堂林翔太(広島)や夏場を迎えて一気に打率を挙げてきた球界最強打者の1人、柳田悠岐(ソフトバンク)らが高打率を残しています。

▼12球団打率上位5人(8/6終了時点)

選手名 球団 打率
柳田悠岐 ソフトバンク .371
佐野恵太 DeNA .348
堂林翔太 広島 .345
吉田正尚 オリックス .345
鈴木誠也 広島 .340

プロ野球史上初となる打率4割打者の誕生も楽しみですが、歴代でどんな打者がこの大記録に近づいたか、その詳細をチェックしてみましょう。
 

バース(阪神・1986年) 

80年以上の歴史を誇る中で、シーズン最高打率を記録したのが1986年のバース。一般的にバースと言うとチームを21年ぶりの優勝に導いた1985年の成績がクローズアップされがちですが、バース個人のキャリアハイとなっているのがこの1986年です。

新ストライクゾーンが導入されたことでこの年は打者が不利になると思われましたが、バースは開幕序盤からエンジン全開。とうとうシーズン半ばの7月2日には打率4割に到達。このまま順調にいけばとも思われましたが、7月8日の打率.407をピークとして以降は下降。しかしバースも粘って8月12日には打率を.399まで戻しますが、そこから各チームの投手も意地を見せてバースを封じ込めていきました。

最終的にバースの打率は.389まで下がりましたが、これは張本勲が記録したシーズン最高打率.383を更新する大記録。もちろん首位打者をはじめとしたタイトルを総なめにして2年連続の三冠王に。これでバースは文字通り、史上最高の助っ人の座を獲得しました。
 

クロマティ(巨人・1989年)

そんなバースと同時期に活躍していたのがクロマティ。巨人入団当時は3年連続で30本塁打以上とスラッガーとして活躍しましたが、1988年に骨折して長期休養をすることに。翌1989年で36歳とプロ野球選手としては高齢になることでクロマティはこのシーズン、打率4割を記録して引退するとシーズン前に宣言します。

それまでのクロマティの持ち味である長打を捨て、広い東京ドームに適応するために軽打に徹した結果、開幕から96試合を経過した8月20日時点でクロマティの打率は.401を記録します。

この年の規定打席は403打席でしたが、それを超えた状態で打率4割を記録したクロマティはこのままシーズンを全休すれば当初の目的通りに打率4割を記録することができましたが、この年の巨人は2年ぶりの優勝が懸かり、負けられない試合の連続。そのためクロマティも試合に出続けることになりますが、チームの勝利と引き換えにクロマティの打率は徐々に下がりはじめ、最終的には.378でシーズンを終えます。

しかし、最後までクロマティの活躍したため、巨人は2年ぶりのリーグ優勝、1981年以来となる日本一に輝き、クロマティも日本シリーズ第7戦を勝利した際、大観衆が待つレフトスタンドに向かって万歳三唱。いまだに巨人ファンの中では語り草となる名シーンを生み出しました。
 

イチロー(オリックス・2000年)

プロ野球史上最高の安打製造機と言えば、やはりイチローでしょう。プロ入り3年目の1994年にレギュラーに定着して以来、6年連続の首位打者を獲得するなど、日本球界ではもはや敵なしの状態に。前年にマリナーズの春季キャンプへ参加したことをきっかけにメジャーリーグへの挑戦という夢を見つけたイチローは2000年のシーズン終了後にポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ挑戦の意向を表明。20世紀最後の年はイチローの日本ラストイヤーとして注目されるようになりました。

開幕戦から4番打者として起用されたイチローは例年以上に安打を量産し、シーズン79試合目となる7月30日まで打率は.401をマークするなど絶好調。バースやクロマティはその後ガクっと成績を落としてしまいましたが、イチローは8月半ばまで打率を3割9分台に乗せてくるなど、いつ4割に届いてもおかしくないほどでしたが……ここでアクシデントが襲います。

それはケガ。元来故障に強いイチローでしたが、抑えるために相手投手は厳しい内角攻めをしてくるようになったため、死球などで負傷することがこの頃から増えました。8月27日のロッテ戦では内角球をファールにしたところで右脇腹を負傷。これが原因でシーズンを全休。打率は.387でシーズンを終えてしまいました。
 

近藤健介(日本ハム・2017年)

最後に紹介したいのは近藤健介。もともと巧みなバットコントロールに定評があり、捕手からコンバートして出場することが増えたバットマンですが、中でも大きな注目を集めたのが2017年のシーズンでした。

この年はライトや指名打者として出場しては毎試合のように安打を放ち高打率をマーク。シーズン47試合目となる6月1日の試合を終えたところで打率は驚異の.415。誰もが史上初の4割打者誕生を予感しましたが、交流戦を迎えた辺りから近藤の体に異変が。

もともと腰痛の持病があった近藤ですが、この頃から椎間板ヘルニアを発症してついに手術のため登録抹消。復帰までには3力月必要ですが、この時点で規定打席まで残り200と1力月フルに出られれば間に合うだけに近藤も復帰を希望しましたが、残念ながら間に合わずにシーズン終了。

規定打席には200打席近く届かなかったために無効ですが、打率は.413というハイアベレージ。2020年も打率4割の記録に最も近い選手とされていましたが、今季は8月5日時点で打率.316。巻き返すことができるか注目されます。