女より「優位でありたい」のだ。小池都知事に妻を重ねる男心の“闇”

強くたくましく未来へと歩み続ける小池都知事に対し、「女帝」のようだ、コワイと、どこか蔑みに似た感情を抱く男性が少なからずいるようです。江戸時代から受け継がれる「男尊女卑社会」が、令和の世にあっても受け継がれていることを感じざるをえません。

7月5日に行われた都知事選挙で、圧倒的な票数を獲得して再選を果たした小池百合子氏。「他の候補が弱すぎた」という意見が多数派を占めるなか、強くたくましく未来へと歩み続ける小池氏に対し、まるで「女帝」のようだと蔑みに似た視線を投げかける男性が見受けられます。

男女の社会的性差の指標である「ジェンダー・ギャップ指数2020」(世界経済フォーラム)を見ると、日本は153ヶ国中121位で、先進国の中では“最底”の位置にあり、江戸時代から受け継がれる「男尊女卑社会」が、令和の世にあっても受け継がれていることを感じざるをえません。

男は常に女より優れていなければならない

「小池都知事のことが“不快”でたまらない」
 

そう語ったのは東京都在住の60代男性。理由を尋ねると、
 

「女のクセに、男より立場が上なのが気にいらない! 政治なんて男にまかせておけばいいんだ! 女のクセに、俺たちに対して自粛自粛と命令しやがって!」
 

と、昭和の手本のような回答が。まぁ、こうした男性は昭和の遺物の一片であり、そのうち消え去るでしょうから放っておくに限りますが、意外にも、若い人からも「不快」との声が上がっているのです。
 

神奈川県在住の40代男性もまた、そのひとり。先の60代男性とは違い「ウチの妻を見ているようで怖い。そのせいで、なんだかイライラする」のだとか。ちなみに、この男性の奥様は製薬会社でバリバリと働き、男性の約2倍の収入を得ているといいます。
 

圧倒的に奥様のほうが忙しいにもかかわらず、家庭内の家事負担は男性側を多く見積もっても「男性2:奥様8」。朝は簡単ながらも美味しい朝食が食卓に並び、週末は早朝から起きて惣菜をまとめて作るなど、家でもバリバリと家事をこなす、スーパーウーマンなのだとか。
 

「妻の稼ぎのおかげで広いマンションも買えたし、ふたりの息子を私立中学に通わせられています。僕自身も、お小遣いをケチられることもなく、同僚や仲間とゴルフや温泉に行ったりすることができている。妻がいてくれるおかげで今の生活が維持できていることは理解できるんです。でも、気持ちがついていかないんですよ。俺は何してるんだろう? 俺なんかいなくてもいいんじゃないか? 俺っていう存在はどこにあるんだ?とすら思います……」
 

どうやら男性にとって、自分たちの立場を脅かす存在は、自尊心を傷つけ、ストレスを増加させる「恐怖」の対象として映るようです。
 

ところで、この男性に「忙しい奥様に代わって、あなたの家事負担を増やすことはしないのですか?」と尋ねてみたところ「あーー、俺、家事苦手なんですよね」とのこと。

なるほど、圧倒的に有能な奥様に対して「怖い」「不快」と感じはすれども、自分自身を成長させようという気力はないのだと、日本の男性(あくまでも一部です!)の「不条理さ」と「不甲斐のなさ」が浮き彫りになったような気がしました。
 

世界的な男尊女卑は解消されつつある

2017年、イギリス・バース大学のJoanna Syrda博士により「女性パートナーの収入が世帯収入の40%を超えると、男性側のストレスが大きくなる」という研究結果が発表され、海外で話題を呼びました。博士は15年にわたって約6000組の夫婦を対象に調査を行い、収入と幸福度の関係性について分析。それによると「女性が男性より高収入の場合、男性側にかかるストレスが増加する」ことが分かったというのです。
 

なぜ、男性がストレスを感じるのか。その原因の一つに上げられるのが「男性が稼ぎ手であるべき」という伝統的・前時代的な慣習のせいではないか?とJoanna Syrda博士は指摘しています。また、現在のように男女の賃金格差が小さくなっている世の中にあってもなお、こうした意識が残っているということに、「ジェンダー規範」がいかに根強いものであるかを示しているとも述べています。
 

それでも、海外ではジェンダー格差の解消に乗り出し始めている国・企業が多く、例えばGoogle社では、同程度の仕事内容である場合、男性よりも女性のほうに高い賃金を支払っているといいます。
 

「男より低い位置にいて然るべき女に、自分たちの居場所を奪われる!」などという謎理論から派生する女性に対する“恐怖心”を、男性(何度も言いますが、あくまでも一部です!)が払拭し、男性であろうと女性であろうと、自身の能力を発揮できている人を素直に尊敬できるようになれば、ジェンダー格差が縮まるのはもちろん、結婚してからも、子どもが産まれてからも、男女お互いが暮らしやすい世の中になることでしょう。
 

近い未来――1分でも1秒でも早く、その日が来ることを願ってやみません。

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